新入社員の入社式にも姿を見せない
人前で話すことが苦手という佐藤社長のエピソードには事欠かない。決算発表はもちろんのこと、新入社員の入社式にも姿を見せないという徹底ぶりだった。それゆえに社員の間でも社長の顔は知られず、技術屋の佐藤社長が作業服姿で自社工場の機械を修理していたら、社員が社長と知らず注意したという逸話も残る。
佐藤社長は一代で今日の世界的な電子部品メーカーを築き上げたカリスマ経営者であると同時に、少年時代はピアニストを志し、社長になってからも財団法人を設立してクラシック音楽を支援するなど、繊細さを併せ持つユニークな社長だった。数々の謎に満ちたカリスマ社長の交代がロームの今後にどんな影響を与えるのか、関係者ならずとも気になるところだ。