「のし紙」とトイレットペーパー規格統一は合意?
当初、高島屋と阪急阪神が経営統合すれば、売上高は三越伊勢丹を抜き、業界トップに浮上するため、高級ブランド店の出店交渉などが有利に進むと見られたが、その夢もかなわなかった。交渉の結果、「規模の追求は強みにはならない」(高島屋の鈴木弘治社長)と判断したという。具体的な成果として残ったのは、両社が使用する「のし紙」とトイレットペーパーの規格の統一化くらいだったという。
今後、両社はそれぞれ単独で生き残りを図る。統合を断念した高島屋の鈴木社長は東京都内で会見し、「高島屋の規模なら、他社との競争に負けることはない」「経営戦略のすり合わせに労力を費やすより、独自に新しい収益モデルを再構築する方が得策と判断した」など、強気の発言に終始した。
これに対して、大阪市内で会見したH2Oの椙岡(すぎおか)俊一会長は「議論が不十分なまま統合すれば、両社の持つ良さを殺しかねなかった」「会社の体質が違うことがよくわかった。できれば、高島屋と組んで成長戦略を見出したかった」などと述べた。売上高で業界3位の高島屋と5位のH2Oはともに収益性の高い「勝ち組」だが、関西から「全国区」を狙おうとしたH2Oと、かつての業界トップ・高島屋の間では温度差もみられた。