「ADLIB」37年の歴史に幕 音楽雑誌「冬の時代」続く

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   音楽雑誌「ADLIB(アドリブ)」が休刊する。1973年に創刊され、日本で数少ないジャズ系音楽雑誌として親しまれてきたが、音楽業界の業績悪化やインターネットの登場に押され、抗うことができなかった。音楽雑誌業界は90年代後半以降、「冬の時代」が続いている。

   2010年3月19日に発売された「ADLIB」4月号で、次の5月号でもって休刊する旨が発表された。発行元のスイングジャーナル社によると、70年代後半から90年代の最盛期には20万部を発行することもあったが、近年は低迷。インターネットの登場や、昨今の音楽業界の不況と、それに伴う広告収入の減少などが響き、休刊を決定するに至った。

90年代後半以降、休刊相次ぐ

休刊が発表された「ADLIB」
休刊が発表された「ADLIB」

   同誌は1973年に創刊。ジャズ、フュージョンを中心にAORやソウル、ニューエイジなど「大人が聴く音楽」を扱うことで知られる。最新号の表紙はギタリストのジェフ・ベック。特集の「J-フュージョン最新事情」では、T-SQUAREなど日本のフュージョン系ミュージシャンのライブ情報などを掲載している。

   編集部によると、4月19日に発売される最終号では、37年の歴史を振り返る特集を組む予定だという。

   音楽雑誌業界は90年代後半以降厳しい状況が続いている。98年に40年以上の歴史を持つ「ミュージック・ライフ」が休刊したのを皮切りに、「ギターブック」「Pop Beat」「GiRL POP」など数多くの有名誌が姿を消した。

   今回の「アドリブ」休刊に関して、音楽評論家の加藤普さんは、

「日本でジャズを扱っている月刊の音楽誌は『アドリブ』のほかに『Swing Journal』や『jazz Life』など数誌しかないのですが、そのうち1つがなくなるという意味では衝撃ですね。残り少ない絶滅危惧種みたいに思っていたのが遂になくなってしまいました」

と語る。

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