地図と生活情報で「捨てられない」工夫
ゼンリンは、他のタウン誌との違いをこう説明する。
「記事の8割を詳細な地図で占めていて、プラス生活に密着した情報を掲載しています。駅にある広告ラックで自由に持っていけるのと違い、地域の全戸に確実に届くポスティング方式を採用。また、わたしどもの経験から、どんな家庭も地図は取っておくことも強みと考えています」
地図と生活情報の充実によって、「捨てられない」工夫を凝らした。発行にあたっては、大手出版社をはじめ多くのタウン情報誌を研究。WEBサイトの運営用ソフトの開発には3億円を費やした。クライアントの確保も「順調です」と話す。
一方、出版不況は出口が見えない。2010年1月以降に休刊・廃刊した雑誌は、小学館が発行する男性グラビア誌の「sabra」や新潮社の「フォーサイト」、学研の「科学」と「学習」、ベースボール・マガジン社の「格闘技通信」などがある。3月23日には、出版大手の講談社が首都圏や関西圏の若者向けエンターテイメント情報誌として人気を集めた「TOKYO1週間」と「KANSAI1週間」を、売り上げの減少を理由に休刊すると発表した。
「逆風」の中で、ゼンリンの地図情報マガジンの今後が注目されそうだ。