経営再建中のサッカーJリーグ2部(J2)の東京ヴェルディ(東京V)の運営会社の株式を、情報通信大手「ネクシィーズ」(東京都渋谷区)が取得する方向で検討していることが明らかになった。東京Vをめぐっては、2009年9月に、事実上のオーナーである日本テレビが不況の影響を受け、経営から撤退したばかり。この「ネクシィーズ」、聞き慣れない社名だが、どんな会社なのか。
東京Vは 日本リーグ時代に5回の優勝、Jリーグで年間優勝2回の実績を持つ「名門」だが、06年にJ2に転落して以来、チーム成績も低迷。これにともなって、苦しい経営状態が続いてきた。
「ホシノドリームプロジェクト」運営にも関わる
運営費は年に約40億円かかるのに対し、入場料や広告収入は約10億円。チーム運営会社「日本テレビフットボールクラブ」(東京都稲城市)は日本テレビが99%出資しており、日テレが赤字分を補填する形で経営が成り立ってきた。ところが、放送業界も広告収入が減少するなどして経営環境が悪化してきたため、「経営資源を、より必要なところに集中していきたい」(日テレ・細川知正社長)として、日テレは09年9月、保有株式の全てを、東京V前身の「読売クラブ」OBらが設立した「東京ヴェルディホールディングス(VHD)」に売却。経営から撤退した。
ここで浮上したのが、前出の「ネクシィーズ」だ。同社は電話販売業「日本電気通信」として1987年に大阪で創業し、携帯電話やPHSの企画販売を手がけていた。現在は、インターネット接続サービス「Nexyz.BB」や、人気女優が地域の名産を紹介するウェブマガジン「旅色」の運営やテレマーケティング業務、きもの着付け教室の運営などを行っている。また、スポーツ支援プロジェクト「ホシノドリームプロジェクト」の運営にも関わっている。
売上高68億円の「オーナー企業」
04年には東証1部と大証1部への上場を果たしており、09年9月期(08年10月~09年9月)の決算(連結)では売上高が前年同期比14.3%増の68億5200万円。営業損益は1億5700万円の赤字だが、前年度の2億4200万円からは縮小している。09年9月時点で株式の34.45%を近藤太香巳社長が持つ「オーナー企業」でもある。
ネクシィーズは3月19日の時点で
「株式取得を検討していることは事実だが、具体的な取得の有無、取得の時期、取得する株式数などは未定」
とするコメントを発表し、近藤社長は2月23日に読売新聞社とのインタビューで、2月12日に東京V側から株式取得の打診があったことを明かしている。さらに、(1)経営に乗り出すかどうかは、早くて4月末に判断(2)株式の過半数を取得することは絶対条件ではない(3)クラブ名は変えない、との意向を示している。前出のHDPのノウハウを生かして、小口出資を幅広く募りたい考えで、
「強いチームをつくらなければいけない」
と意気込んでいる。