不景気で地元の国公立を受験する傾向?
対称的に首都圏以外の学校6校(15位が2校ある)に目を転ずると、合格者数が減少したのは3校。東大寺学園高校(奈良、44人→32人)や、ラ・サール高校(53人→31)は、おおよそ3~4割も合格者を減らしている。ベスト15以外でも、久留米大学附設高校(福岡、38人→22人)や広島学院高校(広島、30人→21人)といった名門校が大幅に合格者を減らしている。
いわば、東大の「関東ローカル化」が進んでいる形だ。大学ジャーナリストの石渡嶺司さんは、この背景を「不景気などの影響で、地元志向が強まっている表れ」とみている。
「地方の名門校の生徒は、地元の国公立を受験する傾向が強まっています。これは、最近の不景気を背景に、経済的な理由で地元を選ばざるを得ないケースがあるのはもちろんです。ですが『お金はある』という場合でも、『友達も沢山いるし、住み慣れた町がいい』と、高校生の保守化が進んでいる面もあります。例えば関西の名門高校であれば京都大学、九州であれば九州大学を受験するでしょう。その結果、関東の学校から多くの東大生が出ているとみるべきでしょう。決して、地方の名門校の学力が落ちているということではありません」
また、日比谷高校からの合格者が倍増したことについては、
「これまでは低調だったとされる日比谷高校ですが、『東大合格者が増えた』というのは、『東大・京大合格者が多い』というのとは違って、全国的に名前をアピールできる機会になると思います。それだけ、東大は特別な存在だということで、『まだ大して東大の魅力は落ちていない』とも言えます」
と話している。