急に決まったセール案内や割引情報が、ミニブログ「ツイッター(Twitter)」で発信されるケースがふえている。最近では、無印良品がフォロワー向けにおこなったタイムセールが評判になった。ツイッター上の割引情報のまとめサイトも出現、専門家は「ツイッターの認知度も高まってきた。工夫次第では販促の手段がさらに広がりそうだ」と話している。
無印良品を展開する良品計画は2010年2月16日、ツイッターの公式アカウント「@muji_net」でフォロワー向け限定セールを急きょ始めた。フォロワー数1万5000人超えを達成した「記念」に行われた企画で、日時は翌17日と設定した。
無印良品「タイムセールなう」
当日の午前9時半にはセールの詳細が明かされた。午前11時~午後2時のタイムセールスで、無印良品ネットストアアウトレット商品の一部が通常よりも安くなるということが判明。午前11時には「タイムセールなう」とのつぶやきを合図に販売が開始された。婦人向けワンピースや紳士向けセーター、組み立てテーブル、ソファなどの追加案内も続々と流れ、あまりの好評でセールは1時間の延長もあった。
同社の広報によると、スタートの合図としてつぶやかれた「タイムセールなう」には6431回のクリックがあったということだ。タイムセール情報はRT(リツイート)も頻繁に行われ、フォロワー数も1日で1000人以上増えた。担当者は「ツイッターは有効なツールということがわかってきたので、今後も積極的に利用していきたい」と期待を寄せている。公式アカウントでは次回への意欲もつぶやかれている。
一方、ツイッター上で割引情報をつぶやくケースも徐々に増えているようだ。
東京大井町にある寿司屋「すし処さいしょ」。2010年2月4日に一日限定で行われた「ツイッター割引」に注目が集まった。入店時にツイッターユーザーであることを伝え、会計時に画面を提示すると、フォロワー一人につき1円を割り引いた。一方、東京・高円寺駅前にある玩具店「すごろくや」も1月25日~2月7日、似たような割引を行った。
割引情報のまとめサイト「twi割」登場
こうした中で、ツイッター上の割引情報のまとめサイト「twi割」が2010年2月に開設された。店舗経営者が割引情報をつぶやく際、「#twiwari」を入れて発信すると、「twi割」内に一覧掲載される仕組みだ。無料会員登録をすれば、住所や電話番号、地図といった店舗情報の表示を追加できる。
ある飲食店の場合、ツイッタークーポン指定ページを提示すると、生ビール一杯のサービスが受けられる。別の居酒屋では「『ツイ割見た!』で生ビール390円、自家製無添加チャンジャを50%offの340円」と書かれている。
サイトを運営する「ザクラ」の代表・鈴木研二さんは「サイトが開設されて1か月経ちますが、およそ800社が登録しています。多くは飲食店ですが、マッサージ店や接骨院、クリーニング店などもあります。個人事業主の方が積極的に利用しています。景気の悪さともあいまって、割引とツイッターには親和性があるのかもしれません」と話す。
新書「Twitter革命」の著者で、KandaNewsNetwork代表・神田敏晶さんによると、こうした手法はアメリカではすでに2009年春頃から始まったが、日本では2010年年明けとともに広まりはじめたようだ、と指摘する。ちょうど同時期にメディアがこぞってツイッターを取り上げ、一般にもより認知されはじめた。
ツイッターを利用した割引情報については、次のように指摘する。
「工夫次第では販促の手段がさらに広がりそうです。ツイッターは速報性があるので、たとえば、これから1時間後に割引がはじまるとか、雨が降ってきたので割引くといった変則的なやり方も可能でしょう。携帯電話に搭載された位置情報といった機能との組み合わせも面白いと思います。日本語の140文字はけっこうメッセージを詰め込めます。長文になりがちなメルマガに代わる可能性もありそうです」