時速260キロにも達したとする暴走運転の動画がユーチューブなどに投稿され、騒ぎになっている。投稿主とされる人物がネット上で特定され、警察に通報する動きも出ているようだ。しかし、そんなスピードを出せるものなのか。
「オッケー」。助手席でビデオを回す女性が、運転席の男性にこう声をかけると、車は飛行機のような爆音を轟かせながら、高速道路を加速していった。
「風なかったら余裕でリミッター開けられるんだけど」
グーグルのビデオ投稿サイトに4年前に投稿された5分間の動画が始まるシーンだ。車は、独BMW社の旧型オープンカー「Z3Mロードスター」と紹介されている。
ものすごい勢いで車を次々に追い抜いていく。「風強いわ」。男性はこう嘆きながらも、女性に「今なんぼぐらい?」と聞かれると、「今170」。天気がよいので全開にと宣言すると、190、200と次々にスピードを伝えていった。
そして、トンネルに入るとさらに加速させたのだ。今度は爆発のような音が響き、メーターを映すビデオの画面も激しい揺れでぶれた。結果として、動画の紹介にあった「260キロ」は本当か分からなかったが、男性は、「風なかったら余裕でリミッター開けられるんだけど」と豪語していた。
その後も、ユーチューブなどに、この男性とみられる「暴走運転」の動画がいくつも投稿され続けた。同じBMW社の7シリーズ「750Li」と紹介した動画では、夜間の高速とみられる運転風景が映され、メーター限度の260キロまで針が振れる様子がはっきりと分かった。
ところが、ここに来て、ネット上で身元を暴き、警察に通報しようとする動きが出てきた。その結果、動画や男性のブログは次々に削除されている。
ネット上の情報では、動画の男性は、西日本の食品会社の関係者ということになっている。そこで、この会社を通じて、別の人間に取材すると、男性がBMWの車を所有しており、別の動画にあった国産のミニバンも運転していたことを認めた。