外食産業「ネット通販」に活路 レストランの味を家庭にも

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   不景気の影響で売上が伸び悩む外食産業は、「ネット通販」に活路を見い出そうとしている。通販サイトで冷凍食材を販売したり、宅配専門サイトを使って料理のデリバリーを始めたりと、各社とも工夫を凝らしている。

   ファミリーレストラン最大手すかいらーくがネット通販に参入した。冷凍食品を販売する「すかいらーく通販ストア」を2010年2月17日にオープンし、全35メニューを展開する。レストラン「ガスト」で扱っている総菜セット「おかずパレット」の他は通販専用商品で、ビーフシチュー&緑黄色野菜のグリル、えびと帆立のホワイトソース、じっくり煮込んだ肉じゃがなどがある。また、高齢者や単身者の需要を見込み、320キロカロリー以下に抑えたおかずセットや、老化防止食品を使用したものも売られている。

「一番大事なのはおいしいこと」

全35メニューを販売する「すかいらーく通販ストア」
全35メニューを販売する「すかいらーく通販ストア」

   同社は「ガスト」で1998年に宅配サービスを始め、今では全店舗のうち約半数(約650店)で実施している。宅配できないエリアもあり、冷凍食品のネット通販に踏み切った。また、ネット通販のニーズが高まり、マーケットが拡大していることも追い風になった。

   広報担当者は、

「ネット通販では新規参入となりますが、繰り返し食べていただくのに一番大事なのはおいしいことだと思っています。すべて自社工場で作っているレストラン屋にしかできない商品開発を目指していきます」

と話している。

   宅配事業全体での売上高は100億円超で、今後拡大を見込んでいる。

   ファーストフード店「モスバーガー」を展開するモスフードサービスも、09 年11 月4 日から通販サイト「楽天市場」に出店している。同社がネット通販で商品を販売するのは03 年~07 年に自社サイトで野菜の産直販売を展開して以来だ。

   店で使っている国産野菜を詰め合わせた「モスの野菜 定番セット」や、冷凍したフライドチキン「冷凍モスチキン」など10 品程度を売っている。今後は店舗の人気メニュー「モスライスバーガー」の冷凍食品なども販売する。09年12月はクリスマスに向けて「冷凍モスチキン」の売れ行きがよく、売上高は計画の2倍となった。広報担当者によるとその後も計画通りに推移し、初年度は3000 万円程度を見込む。

宅配専門サイトも好調

   できあいの総菜などを店で買って家で食べる「中食」志向が強まり、店に電話をしなくても料理を注文できる宅配専門サイト「出前館」は会員が増えて、10年1月末時点で300万人を突破した。運営している夢の街創造委員会によると「中食」の需要が増加し、とりわけデリバリー市場は年間約6%成長している。

   この「出前館」を通じて配達を始めたのは、ファーストフード店「フレッシュネスバーガー」だ。09年夏に5店舗からスタートしたところ、売上げが4割増えた店があったことから12月1日に45店舗を追加した。その後も実施店舗を増やし、10年2月時点で全店の3分の1弱にあたる54店舗でデリバリーを行っている。広報担当者は、「消費者の中食志向が強まっているので、需要がある地域では宅配実施店を増やしていく」と話している。

   日本フードサービス協会によると、09年1~12月の外食産業の年間売上高は前年比 98.5% にとどまった。業態別ではファーストフードが102.5%と比較的好調だったが、ファミリーレストランは95.3%、パブ・居酒屋は94.2%、ディナーレストランは92.1%、喫茶は94.9%となった。外食産業が苦戦する一方で、ネット通販は好調だ。野村総合研究所によると09年度の消費者向けEC市場規模は6兆5744億円で、10年度はさらに拡大して7兆6636億円に、14年度は11兆9573億円になると推測している。

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