「 当校で応募する生徒はいないと思います」
応募は運転士を目指す高校卒業生や大学の新卒でもかまわないが、700万円と高額のため、社会的に成功し時間とお金に余裕のある人が応募してくるのではないか、と同鉄道では見ている。
「首都圏に3500万人住んでいますので、数人くらいは高額な費用をかけてでも運転免許を取りたい、取得後は電車を運転したい、という人がいるのではないか、と期待をかけ募集を行うことにしました」
と同鉄道は打ち明ける。募集を開始したのは10年3月4日で、初日に10件を超える問い合わせがあった。ただし、中には「高額すぎる」など、この企画を批判する問い合わせもあったという。
日本で唯一「鉄道」の名前が付いている昭和鉄道高校に話を聞いてみたところ、いずみ鉄道が提示した700万円が妥当な額かどうかわからないが、鉄道各社が社員を運転士として養成するためにかけている費用は、給与を含め、およそ1千万ほどだという。また、鉄道会社によって異なるが、運転士になるための道筋は、駅勤務を経て車掌、そして運転士というのが一般的なコースで、最短でも入社してから4、5年かかるそうだ。ただし、運転士を目指しても誰でもなれるものではなく、厳しい運転適性検査や、視力や視野などの医学検査があり、800時間もの運転に関わる訓練を受けなければならない。
「一般の鉄道会社に入れば運転士になるための費用や訓練は会社持ちですし、700万円という高額な費用を払うとなると、当校で応募する生徒はいないと思います」
と話している。