節税している人は借金を背負うことに?
懸念されるのは、いま実施している節税対策が大きな影響を受けることだ。たとえば、生命保険の非課税枠の扱いが廃止されるにしても、すべて廃止されるのか、契約日によって有効になるものと無効なものに分かれるのか、といったことが起こる。つまり、節税対策がなんの役にも立たなくなってしまう可能性があるのだ。それどころか、借金をすることが相続税対策につながると思っている人は少なくないから、借り入れまでして生命保険に加入したような人は、結果的に借金を負わされることになる。
松浦氏は、「さすがに全廃となると相当非難を浴びるでしょうから、非課税枠は現状を維持するなど、(そういった人が出ないように)なんらかの形で節税できるような措置はとるでしょう」とみている。
中小企業向けの優遇措置も廃止される可能性がある。また、不動産など処分しなければお金にならない遺産を譲り受けたサラリーマン世帯は、相続税を払うために住んでいる家を売ることになるかもしれない。
相続税の見直しは贈与税など他の税制にも波及するだけに、実施されれば相当な混乱に陥るのは必至だ。