新生銀八城社長退任の意向 あおぞら銀合併さらに混迷

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   新生銀行の八城政基社長が2010年6月に退任する意向を漏らしていることが分かり、波紋が広がっている。新生銀は10月にあおぞら銀行との合併を計画していたが、合併後の事業計画などを巡る交渉が難航し、延期や撤回が取りざたされている。合併交渉を主導してきた八城社長の退任が、両行の行く末に大きな影響を及ぼすのは必至だ。

   新生銀関係者によると、八城社長は2月下旬に開いた投資家向け説明会で、6月に退任する考えを漏らした。

10月の統合を花道に退任する予定だった

   八城社長は、あおぞら銀との合併を決めた2009年7月の記者会見で、今年10月に計画している統合を花道に退任する方針を表明していただけに、あおぞら銀はもちろん、合併をおぜん立てした金融庁にも寝耳に水の発言。退任前倒しの意図を巡り、さまざまな憶測を呼んでいる。

   その一つが、10年3月期決算で大幅な損失を計上し、2期連続で赤字に陥る責任を取るとの見方だ。新生銀は09年末からの金融検査で、不動産向け融資などの引き当て不足を指摘されているとされ、損失処理額によっては自己資本が毀損し、増資などの対応を迫られる懸念もある。前任のポルテ氏も業績不振を理由に退任しており、2代続けての引責辞任になれば、新生銀の混迷は深まる。

   あおぞら銀との合併交渉が暗礁に乗り上げ、経営再建への意欲が薄らいだとの指摘もある。合併交渉では、新生銀がアプラスなどの消費者金融事業を収益の柱に位置付ける方針を掲げたのに対し、あおぞら銀が反発。合併会社の社長に就任する予定の池田憲人・前足利銀行頭取もあおぞら銀に近い考えと見られている。新生銀の業績悪化も加わり、合併後の経営があおぞら銀主導になる可能性があり、八城社長は合併への意欲を失いつつあった。

退任早まれば合併計画一から練り直し?

   こうした事情を背景に、八城社長は「金融市場の安定で、合併の緊急性が薄らいだ」との趣旨の発言をしたほか、消費者金融など新生銀のビジネスモデルに理解を示す経営者を外部から招へいする考えも示唆したという。今年で81歳になった八城氏は体力も衰え、合併交渉の激務に耐えられなくなっていたという見方も出ている。

   八城社長は、2月4日に行われたアナリスト向けの説明会でも合併問題に言及し、「大事なことが決まっていない。10月を目標にするより、よりよい合併を考える」と発言。合併を先送りする可能性を示唆した。だが、合併自体はなお進める姿勢を見せていただけに、八城氏の退任が早まれば、新生銀は新トップのもとで合併計画を一から練り直すといった事態は避けられない。

   八城社長は00年の新生銀発足時に会長兼社長に就任。06年いったん退任した後、08年6月に経営建て直しのため会長に復帰、同11月に社長に再登板していた。

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