弁護士とともに高収入で安定している「資格」の代表格といわれた公認会計士が就職難に陥っている。国家試験合格者の急増と、監査法人や企業の採用抑制が響いている。
公認会計士になるには、試験合格後も一定の研修を受ける必要があるほか、2年間の実務経験が課せられている。合格者は監査法人や公認会計士事務所か、一定規模の企業の経理担当者として勤める必要があって、超難関といわれる国家試験を突破しても、正式な資格が得られないという事態に直面しているのだ。
「この2、3年で合格者が急増したことが原因」
2009年度の合格者数は2229人。日本公認会計士協会によると、2010年1月末時点で就職先がない合格者は700人弱いるという。
毎年秋に国家試験が行われ、大手監査法人の定期採用は12~1月になる。09年度の定期採用は終わったばかりで、トーマツは前年に比べて171人減の383人を採用した。新日本監査法人は226人で、「09年より減っていますし、例年と比べても多いほうではありません」と話す。
一方、公認会計士試験の合格者数は、06年に試験制度が簡略化されたことで1000人台から3000~4000人に増えた。景気がよければ、監査法人や一般企業の経理部門で吸収できるが、リーマン・ショックの後遺症で、どの企業も採用は縮小している。ふつうの学生でも就職するのが難しい時代に、「経理部門に限定して、優先して採用してくれる企業などほとんどない」(日本公認会計士協会)のが実情だ。
「とにかく、この2、3年で合格者が急増したことが(就職難の)原因。会計士の仕事は経験を積むことが大事なのでなんとかしたいが、なかなかむずかしい」と話している。