「過去の被害を全額回復できる」とさらに騙す
さらに最近は、「A社の未公開株を買いたいのだが、事情があって買えないので代わりに買ってほしい」などと持ちかけて、謝礼や高値での買い取りを約束する「代理購入型」や、「過去の被害を全額回復できるが、そのためにはB社の未公開株を購入してもらいたい」などと誘って未公開株を追加購入させる「被害回復型」といった手口が横行している。
未公開株の販売は、株式の発行会社が自ら行うか、金融庁に登録している金融商品取引業者しかできない。未公開株を勧誘してきた業者が金融商品取引業者か否かを調べれば、違法な勧誘かどうかわかるが、最近は自らが発行会社となって募集する形をとっていて、詐欺行為と判断しにくくなっている。金融庁は「悪質になっている」という。
被害者は実際に株式が上場されないことがわかってから騙されたのに気づくケースがほとんどで、被害の発覚まで時間が経ってしまっていることもあって、振り込め詐欺のような取引口座の凍結といった対策では、それほど効果が出ないこともある。
日本証券業協会は現在、未公開株の被害者への相談に適切なアドバイスができるよう、対応マニュアルを作成中。3月にも配布するほか、ポスターなどで注意を呼びかけていく。