亀井氏が信金・信組に優遇措置 郵貯限度額引き上げで「アメ」

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   郵政民営化見直しに関連し、郵貯の限度額を引き上げるかわりに、信金や信組など小規模金融機関への優遇措置を打ち出す案が政府内で浮上している。郵貯の限度額引き上げには民間金融機関の反発が強いが、信金・信組に優遇措置という「アメ」を渡して批判を和らげようという思惑が透けて見える。

   アメをぶら下げたのは、亀井静香金融・郵政担当相。2010年2月12日の会見で、「ゆうちょだけでなく、信用金庫や信用組合などの小さいところについて、監督検査のあり方が良いかどうかを考え直す」と述べ、金融検査を簡素化する方針を打ち出したのだ。

信金・信組にも検査の簡素化を適用

   政府は郵政民営化の見直しに伴い、貯金や保険を扱う小規模郵便局については、金融検査を簡素化する方向で検討を進めている。過疎地の郵便局は少人数で運営しているため、検査に対応しきれないという理由だが、銀行などは「郵政グループへの特別扱いは民業圧迫につながる」と反発。そこで亀井氏は、信金・信組にも検査の簡素化を適用することで金融機関を懐柔する戦術に打って出た模様だ。

   金融庁は既に簡素化の検討に着手。現在も店舗の規模に応じて、一部検査を省くなどの運用上の工夫は施しているが、郵便局や信金・信組は規定を明文化するなどの対応が考えられそうだ。

   さらに亀井氏は19日の閣議後会見で、「(ゆうちょ銀が)信金・信組など地域の金融機関と協調していく方法はないかということもある。ペイオフの保証限度額の問題もある。いろんな角度から検討しないといけない」と述べ、信金・信組のペイオフ(預金の払戻保証額を元本1000万円までと、その利息とする措置)の保障限度額の引き上げを検討する考えを打ち上げた。

ペイオフ限度額引き上げには「反対」

   民間金融金融機関が破綻してペイオフが発動された場合、元本のうち1000万円までしか保障されない。このため、貯金の限度額が引き上げられれば、民間金融機関に預けた預金のうちペイオフで保障されない1000万円超の部分は、政府出資による「暗黙の政府保障」がある郵便貯金に流入しかねない。特に、経営体力の弱い信金・信組の不安が強いため、ペイオフの保障額を引き上げて釣り合いを持たせるという理屈だ。

   もっとも、補償額を引き上げると保険料負担も重くなる可能性がある。また、現状はペイオフの1000万円という線があることで、元々メガバンクや地銀などに預けられていた預金の一部が信金・信組に回ってきているという「限度額の恩恵」もあるのが実態。このため、信金・信組だけでなく地銀なども限度額を同時に引き上げられれば、逆に信金などから預金が「逆流」する懸念もある。22日に信金・信組側がこうした懸念を伝えると、亀井氏はあっさりと構想を撤回した。

   民間機関は郵貯肥大化に神経をとがらせており、信金・信組を銀行と切り離そうという「分断作戦」だが、中途半端な「アメ」では難しそうだ。

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