医薬品全体に占める割合はまだ2%未満
漢方薬の市場規模は生産金額ベースで1131億円(07年厚労省調べ)だ。病院で処方される医療用とドラッグストアなどで売られている一般用(OTC)があり、医療用が918億円で、OTCが213億円。
漢方薬が医薬品全体に占める割合は1.8%と小さいが、2015年に国内漢方薬市場が07年の2倍の2000億円を超え、シェアが3.0%になると野村総合研究所は推測している。根拠はこうだ。
09年6月に改正薬事法が施行され、薬剤師がいなくても登録販売者がいればコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどでも漢方薬(OTC)を販売できるようになった。消費者との接点が増えたことで利用増が期待できそうだ、というのだ。
こんなデータもある。野村総研が09年9月に行った漢方薬の使用状況に関する調査によると、利用していると答えた人は29%、過去に利用した人は33%、利用したことがない人は38%となった。一方、今後の利用意向を聞くと、現利用者の94%、過去利用者の65%、未利用者の52%が「利用したい」と答えた。また、漢方薬は年齢が高くなるほど利用する傾向があることから、高齢化社会では利用増加が期待できる、と見ている。
「ウコン」など漢方に用いられる素材を使った飲料や食品が登場していることも、漢方薬の利用増につながる可能性もある。ハウス食品がドリンク剤などを展開する「ウコンの力」は、08年度の売上高が販売ベースで250億円だった。
医療用漢方薬も拡大が見込まれている。15年に世界保健機関(WHO)の国際疾病分類(ICD)が改正される見通しで、初めて漢方薬が登録されることになりそうだ。登録されていないと医師はどのような症状の時に利用すればいいかわかりにくく、統計情報を取れないなどの問題があった。
鳩山由紀夫首相が10年1月29日に所信表明演説で西洋医療と漢方など伝統医療を組み合わせる「統合医療」を進めたいとの考えを示したことも、「追い風となって、いい方向(漢方薬市場の拡大)に進むのではないか」とJSOMの担当者は期待している。