金商法のTOBルールに抵触する可能性
さらに金融庁が今回のKDDIの買収は、上場企業株の3分の1以上を取得する場合はTOBを実施するよう定めた金商法のTOBルールに抵触する可能性があると指摘。KDDIは株を直接取得するのではなく、ジェイコム株を保有する米国ケーブルテレビ事業会社系のペーパーカンパニーを買収する形をとることから、法的に問題はないなどと主張したが、最終的に株の保有比率を議決権ベースで3分の1未満の31.1%に引き下げざるを得なくなった。金商法のTOBルールに抵触した場合、700億円から900億円の課徴金が科せられる可能性があるからだ。
住商のTOBは3月3日から4月14日まで30日営業日行われる。住商はジェイコムの持ち株比率を現在の27%台から34%~40%へ高めることを目指し、最大1220億円を投じる。一方のKDDIは19日に31.1%を取得。KDDIの小野寺正社長は「ジェイコムとの協業を進展させることで、一層の競争力強化を図りたい」と語ったが、住商側は「KDDIとは接触しておらず、今後の関係は白紙」と、不信感を隠せない。経営権争奪戦の行方は、TOB開始を前に混とんとしている。