KDDIと住友商事それぞれの思惑 ジェイコムめぐる争奪戦

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   国内ケーブルテレビ最大手、ジュピターテレコム(J-COM 、ジェイコム)をめぐるKDDIと住友商事の争奪戦が注目を集めている。当初、KDDIがNTTグループへの対抗上、ジェイコムのケーブルネットワークを取り込むため、米国のジェイコム株保有会社を買収し、住商を超える筆頭株主に躍り出る計画だった。

   ところが、1995年のジェイコム設立当初からの筆頭株主である住友商事が反発。住商は株式の公開買い付け(TOB)を2010年3月3日から実施し、「(KDDIに対抗して)経営の主導権を握り続ける」と発表した。さらに金融庁がKDDIの買収は金融商品取引法に基づくTOBルールに抵触する恐れがあると指摘したため、KDDIの戦略は大きく狂うことになった。

NTTへの対抗上ケーブルが欲しいKDDI

   ジェイコムは95年、住商と米国のケーブルテレビ事業会社の合弁で設立。2010年2月18日に日米の合弁が終了する契約のため、KDDIは米側が保有する全株を、市場価格を上回る3617億円で買い取り、議決権ベースで37.8%を握る筆頭株主になると1月25日に発表した。

   ジェイコム関係者は「米国の事業者は日本でジェイコムを軌道に乗せたことで、合弁から撤退するタイミングを計っていた。そこにNTTへの対抗上、ケーブルネットワークが欲しいKDDIが現れ、市場価格よりも高値で買い取ると表明した。両社にとって、願ってもない良いタイミングだった」と解説していた。

   ところが、この買収話は住商にとっては「寝耳に水」だったようだ。それまで合弁で57.46%、住商単独で3.66%を握る筆頭株主だった住商は、合弁の解消でジェイコム株を実質的に約27%保有する第2位の株主に転落する。住商は多チャンネル放送のケーブルテレビを「メディア事業の中核」と位置付けており、KDDIがジェイコムの筆頭株主となり、経営権を奪われるのは容認できなかった。

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