「他の会社にも適用できるのではないか」
2ちゃんねるの書き込みをめぐっては、これまでも多数の裁判が起こされ、管理人の西村氏に損害賠償を命じる判決も数多く出ているが、賠償金の支払にほとんど応じていないとされる。対抗手段として西村氏の債権を差し押さえようとしても、本の印税債権などの名義が西村氏ではなく会社になっているため、回収できないことが多かった。
「西村氏からまとまった損害賠償金を回収したのは珍しいことだと思う」
という齋藤弁護士は、今回のケースについて
「会社が名目上の権利者となっている場合でも西村氏を権利者とする判断を、裁判所が示したのは大きい。彼が介在している他の会社についても適用できるのではないか」
と話す。西村氏に対する損害賠償金はまだ全額回収できているわけではないので、「次にどこを攻めるべきか」を考えているという。
2ちゃんねる関連の訴訟をいくつも手がけたことがある久保健一郎弁護士は、
「会社の法人格が濫用されたり形骸化している場合に超法規的に適用される『法人格否認の法理』が認められたのだろう。いまの時代、会社は簡単に作ることができるので、そこを印税などの支払い先とされてしまうと回収するのが難しい。今回は弁護士がよくがんばって、支払い先をうまく突き止めたなと思う」
と話している。