福岡市に初の「上智」中高誕生 有名大による生徒争奪が激化

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   立命館大学などの有名大学が全国に系列校を展開するなか、福岡市に「上智」の名前を冠した学校が登場することが2010年2月18日分かった。2月22日に正式発表される。上智大学(東京都千代田区)の設立母体でもある男子修道会「イエズス会」の系列校の名前を変更し、男子校だったものを共学化する。高校から大学への指定校推薦枠も大幅に増やす。

   早稲田大学は2010年4月、佐賀県唐津市に系列校を開校する予定で、生徒の争奪戦が激化するのは必至。北部九州にも「高大連携競争」が訪れる可能性もでてきた。

上智への指定校推薦入試枠を大幅拡大

「上智」の名前が付いた学校はまだ増えるのか(写真は東京都千代田区の上智大学)
「上智」の名前が付いた学校はまだ増えるのか(写真は東京都千代田区の上智大学)

   校名に「上智」の名称を冠することになったのは、中高一貫の男子校「泰星中学高等学校」(福岡市中央区、水谷繁夫校長)で、中学校・高校の名前に「上智」という名称が使用されるのは初めて。

   泰星は1932年に「福岡カトリック神学校」として開校し、1936年に「泰星中学校」と改称。1983年から事実上イエズス会が経営している。

   同校は2月16日付けで福岡県に校名変更を届け出ており、2011年4月に「上智福岡中学高等学校」に校名を変更、2012年4月をめどに男女共学化を目指す。同校を経営している学校法人「泰星学園」の名前は変更しない。

   イエズス会系列の高校は、国内では泰星以外にも栄光学園中学校・高校(神奈川県鎌倉市)、六甲中学校・高校(神戸市灘区)、広島学院中学校・高校(広島市西区)の3校があり、いずれも「地域の上位校」として知られる中高一貫の男子校。国内でイエズス会系列の学校が共学化されるのは異例で、1913年創立の上智大学が共学化に踏み切ったのも、1958年のことだ。

   泰星は、校名変更に先立って、2月15日に上智と「教育提携協定」を締結。新年度から「教育提携プログラム」を発効させる。09年度には(1)上智が行っているアンコールワット遺跡(カンボジア)の保存プロジェクトに泰星の生徒が参加する(2)泰星の英語教員が、上智の教員から指導を受ける、といった試みが行われており、これを本格化させる。具体的には、現在は在校生向けには2つしかない上智への指定校推薦入試枠を約20に増加。新入生向けには、さらに枠の増加を目指すという。

4月には唐津市に早稲田佐賀中高が開校予定

   北部九州の私立学校では、ここ15年ほどで受験生の争奪競争が激化している。東福岡高校(福岡市博多区)や福岡大学附属大濠高校(同中央区)が相次いで中学校を開校したほか、県内でも名門とされてきた久留米大学附設高校(久留米市)は05年に共学化に踏み切った。10年4月には佐賀県唐津市に早稲田佐賀中学校・高校が開校予定で、同校では、卒業生の50%が推薦枠で早稲田大学に入学できることになっている。

   学校側は生徒・保護者に対して、今回の名称変更と共学化の目的を

「キリスト教の精神を基本に、国際的に役立つ人材の育成を狙う」

などと説明している様子だが、「早・慶・上智」と並び称される上位ランクの私立大のブランドイメージで、受験者数の増加を図る狙いもあるものとみられる。

   上智大学は2011年4月に、看護系の聖母大学(東京都新宿区)を合併することになっており、「今回の名称変更が『拡大路線』の端緒なのでは」との憶測を呼ぶ可能性もある。同大学を運営する上智学院の総務局企画広報グループでは

「現時点では、大学としてお答えすることはありません」

と、ノーコメントの立場だ。

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