出産育児一時金で「経営難」 分娩費用値上げに動く

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少なくとも2カ月は収入がゼロになる

   アンケート調査をまとめた浅川産婦人科の浅川恭行先生は、

「医療機関に42万円が支払われるまで少なくとも2カ月あり、その間の収入がゼロになるんですよ。診療所は経営できなくなって死活問題です」

と話している。

   少子化で分娩件数が減り、収入が少なくなった。一方で人件費は上がって、安全志向の高まりから高度な機械の導入も相次ぎ、支出が増えている。ほとんどの病院が赤字経営だが、税金で補填できる自治体病院は値上げをしなくてもやっていけた。地域の診療所は充てるお金がないので、院長の資産を使ったりして自転車操業でなんとかやりくりしているのが現状だという。金融機関から借りるにも、産科開業医の多くが高齢で長期ローンを借りられないそうだ。

   浅川先生は、

「値上げをしなければ地域の診療所がバタバタ倒れてしまいます。そうなれば大病院に妊婦さんがいま以上に殺到し、受け入れ制限が厳しくなって、結果的に『お産難民』が増えます」

といっている。

   こうした指摘を受けて、厚生労働省は医療機関への請求・支払い回数を現行の月1回から2回に増やすことを検討している。月1回の請求では、請求日は退院の翌月10日、支払いは翌々月の5日ごろとなるが、下旬にも請求日を設ければ早期の支払いが可能になるとみている。

   一方、直接支払い制度は緊急少子化対策として実施したもので、2年間の期限付きだ。11年3月末までとなり、厚労省保険局総務課の担当者によるとその先については「検討中」だ。

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