服装が乱れていたとして議論を呼んでいるバンクーバー五輪、スノーボード・ハーフパイプ代表の国母和宏選手(21)。政治家たちもこぞって言及し、海外でも米ヤフーでトップニュース扱いになるなど、まだ競技が始まっていないのにもかかわらず、一躍時の人となっている。
国母選手の服装問題は、新聞・テレビが連日大きく取り上げ、「本国に召還すべき」と語った漫画家のやくみつる氏を筆頭に、強烈なバッシングが起きていた。
自民・河野氏は「頑張れ国母」
文部科学省の川端達夫大臣も2010年2月15日の衆院予算委員会で国母選手に触れた。「極めて遺憾だ。国を代表して参加する自覚が著しく欠けていた」と批判した。
一方、同日夜には、自民党の河野太郎衆院議員がブログ記事を掲載。こちらは国母選手を擁護するものだ。タイトルは「ルールと価値観」。国母選手の服装は河野氏も格好悪いと思うものの、だらしがない、不愉快だというのは個人の価値観であって、それで処分するのは、私的な場ならともかく「オリンピック代表団のような公の場では行えないはずだ」と力説する。
また、「批判が多く寄せられたから、公式な応援を取りやめるとか、誰かが不愉快に思ったから行事に出席を自粛させるというのは、対応としておかしい」と指摘。「頑張れ国母。僕は応援するぞ」とエールを送っている。
自民党の谷川秀善参院幹事長も16日の会見で国母選手について言及。スポーツ選手は個性があるので、国母選手の一見乱れた服装もやむを得ないとし、「選手を怒るのはかわいそうだ」と擁護。国母選手を「いい青年」だといい、監督にも責任があるとした。
米ヤフー、コメント3500件超
国内では、スポーツ界のみならず政界をも巻き込み議論を呼んでいる国母問題だが、海外でも大きく取り上げられている。
米ヤフーでは2月12日、「日本のスノーボーダー、乱れた服装で非難受ける」という見出しで国母問題をトップニュースで扱った。記事には、「反省してまーす」と謝罪した12日の会見の動画も一緒に掲載され、ドレッドヘアの男が国母選手だと紹介。服装の乱れが原因で、日本オリンピック委員会に謝罪するところだと説明している。
記事は、「スノーボードでは、反権威的な姿勢が浸透している」としたが、国が資金を出して代表としてオリンピックに送り出していることも指摘。最後には、「スーツを着るときは、スーツらしく着よう。それが1番格好良く見える」と皮肉っぽく書かれている。
17日現在までにコメントが約3800件も投稿された。「これがニュースなの?」「服装とか髪型とか、一体誰が気にするんだ」といったものが目立つ。何故国母選手がこれほどまでに責め立てられているのか、理解できないという人が多いようだ。
国母選手が出場する男子ハーフパイプは、2月17日(日本時間18日)に行われる。