電力会社も早急な開発さほど期待せず
「なるほど」と賛同したいところだが、日本原子力研究開発機構によると、もんじゅを09年度中に運転再開したとしても、「発電プラントとしての信頼性の実証とナトリウム取扱い技術の確立」には「10年程度以内」かかるそうだ。原型炉の次のステップとなる実証炉の実現は2025年ごろ、実用炉(商業炉)は「2050年より前に開発」と、気の遠くなるような壮大な計画だ。
「夢の原子炉」だったもんじゅの運転再開には、福井県など地元自治体の同意が残っている。同県などは政府による耐震安全性評価を求めており、運転再開には流動的な要素もある。
ナトリウム漏れ事故から15年を経てなお、実用化が2050年ごろというタイムスパンで論じられるのは、電力会社を含めた関係者さえも、早急な開発をさほど期待していないことを示している。高速増殖炉実現の現実性は限りなくゼロに近いのかもしれない。