新生銀行とあおぞら銀行の合併交渉が難航し、「破談」になる可能性も出てきた。両行は2010年10月の合併を目指していたが、「破談」「延期」といった報道も飛び交い始めている。合併行が新生銀のシステムを引き継ぐか、あおぞら銀にするかの調整が難航しているほか、現在実施中の金融庁の検査結果次第では、財務内容の大幅な変更を迫られ、統合比率の見直しといった計画自体の修正の可能性も出てくるからだ。
2月13日付の日本経済新聞朝刊は、新生銀行とあおぞら銀行は合併を断念する方針を固めたと、報じた。また、共同通信など大手マスコミも「断念」の方向を打ち出している。ただ、新生銀行は2010年2月13日、合併を断念との報道について「当行が発表したものではなく、決定した事実はない」とのコメントを出した。
1対1としている株式の交換比率も問題に
新生銀、あおぞら銀とも、09年4~12月期決算は黒字を確保。金融市場が落ち着き、前年同期のように海外投融資などの巨額損失処理に踏み切る必要がなかったためだ。あおぞら銀は最終損益が73億円の黒字となり、通期の最終黒字見通しも当初の50億円から70億円に上方修正した。
一方の新生銀も、数字の上では堅調だ。最終損益は222億円の黒字で、前年同期の321億円の赤字から再浮上。にもかかわらず、通期の予想は100億円の黒字を据え置いた。新生銀によると、「過去に投資した国内不動産等のリスク資産の見直しや、コンシューマーファイナンス子会社における過払い利息返還に関する引当水準の妥当性や、減損についての精査」を実施しているためという。
この背景には、金融庁が09年暮れから新生銀、あおぞら銀の両行に対し実施している金融検査がある。新生銀は不動産関連の投融資などで、金融庁から引当て不足を指摘されている模様だ。追加引当てや減損処理などに踏み切って1~3月期は赤字計上を迫られそうで、「通期でも100億円の黒字どころか、赤字転落という事態も考えられる」(金融関係者)という。
そうなれば、新生銀の財務悪化は避けられず、合併に際し1対1としている株式の交換比率の見直し議論も視野に入る。そうでなくても、両行の統合交渉では、システムや統合行の名称など重要案件で調整が難航しており、金融検査で両行の財務内容が確認されないうちは、本格的な議論を進めにくい状況だ。