ミニブログ「Twitter(ツイッター)」内で、大学の公式ではないアカウントが相次いでみつかっている。中には正式なものとして積極活用している大学もあるが、ほとんどの大学では公式アカウントが存在しない。専門家は、導入する大学が少ないのは「前例がないことに対する不安があるのでは」とも話している。
東京大学は2010年2月8日、ツイッター上のアカウントに関連して「重要」と銘打った案内をホームページ上に出した。それによると、東京大学と名乗っているツイッターのアカウント「Univ_of_Tokyo 」「univ_tokyo」は大学とは一切関わりが無いというのだ。一時は著名人の「なりすまし」が話題になったが、それが大学にも及んでいるらしい。
なりすましでもフォローがいる
早稲田大学も同日、ツイッター上のアカウント「Univ_Waseda」は大学と一切関係ないと注意を促し、大阪大学でもアカウント「osaka_univ」「osakauniversity」が大学とは一切関わりないとした。同志社大学も同様で、ウェブサイトによる情報発信は公式サイトのみだとした上で、ツイッターを含めた外部SNSで案内することはないとしている。
こうした大学を騙ったアカウントでは主に、大学公式サイト内で発信された情報が随時、更新されているようだ。たとえば東京大学「univ_tokyo」の場合は、シンポジウムや講演会の案内が転載され、公式ページへのリンク先が記されている。フォロー数は2010年2月10日現在、335人いる。また、早稲田大学「Univ_Waseda」には168人が、大阪大学「osaka_univ」にも531人がフォローしており、それなりの人数を集めていると言える。
実は、大学の非公式なアカウントはツイッター上に氾濫している。J-CASTニュースが調べたところ、関西学院大学、京都大学、慶應義塾大学、同志社大学、日本大学、立命館大学の「なりすまし」アカウントが見つかった。これらが公式なものかどうかについて各大学広報に問い合わせると、回答は一様に、「現段階では正式なアカウントは持っていない」「情報発信はホームページ上だけでおこなっている」ということだった。
立教や上智は公式アカウント
そんな中で、公式に近い形で運営しているところもある。立教大学のアカウント「rikkyouniv」には、「立教学院広報課が試験的に運用しています」と書いてある。立教大学広報はJ-CASTニュースに対して、
「海外の大学ではツイッターを積極的に利用しているところが多いことがあって、導入を決めました。新しいツールを試していきたい考えです。基本的にはHPの新着情報を転載するスタイル。大学のHPはページ数が多く、わかりづらいところがありました。ツイッターは字数が限られているのでアナウンスに向いていると思います」
と述べる。立教大学広報はツイッターの仕組み上、何でも気軽に発言できる「ゆるい」風土があるので、雰囲気には流されないように注意したい、とも話していた。
また、上智大学の場合は、大学OB会「上智大学ソフィア会」が公式アカウントを所持している。ソフィア会会員向けのWebメールニュースの発行に携わっている、豊田圭一さんによると、今から5~6年前、まだSNSが一般でなかった時期からネットを通じた同窓生のコミュニケーション手段を考えていたという。
予算が限られていた関係で話は流れたが、ツイッターの流行とともに同様の話が再燃。豊田さんは「今、メディアでかなり浸透しているのがツイッターです。他に先駆けてすぐにやっていこうという思いがありました」と語る。今は100人近くがフォローしており、同窓生同士のつながりに一役買えばと期待を寄せている。
もっとも、なぜ大学は公式アカウントを持たないのだろうか――。ITジャーナリストの井上トシユキさんは「今はホームページがあるので使う必要がないと考えているのでは。また万が一、不用意な発言があることを心配しているのかもしれません」と話す。前出の豊田さんは「大学の了承を取るのが難しいのだろう。前例がないことに対する不安が、導入を遅らせているのかもしれません」と指摘していた。