長期的に見ると必要な収益を確保できる
――資産はどのように運用しているのですか。
松 本 基金には地域型と職能型の計72基金があります。その資産は連合会が中心に運用しますが、一部の基金(16基金)でも行っています。2008年度末でみると、全体の資産残高は約2兆1708億円で、そのうち約1兆9067億円(88%)を連合会が、残りを個々の基金が運用していることになります。
ただ、連合会が直接運用しているわけではなく、プロに任せています。現在は5つの信託銀行と17の投資顧問会社に委託し、連合会は「年金資産運用の基本方針」を策定し、それに沿って国内外の株式、国内外の債券と円ヘッジの債券の5種類の投資先を「基本ポートフォリオ」に基づいて配分します。運用委託先には成果とリスクを考え、バランスよく運用してもらっています。
連合会は、全体のリスク管理と委託先の運用状況をしっかりチェックしていくのが役割で、四半期ごとに運用成績を検証し、委託先の成績が上がらなければ他社に変更することもあります。
――リーマン・ショックなどの影響で資産運用について心配される方がいます。
松 本 サブプライム問題やリーマン・ショックによる世界的な金融危機の影響で、委託先の運用成績も悪化しました。連合会も同様にこの影響を受け、08年度の運用利回りはマイナス約20%となりました。しかし、09年度には大幅に持ち直してきています。
年金財政の状況は、こうした市場の動向に大きな影響を受けるため、短期的には年度によって変化しますが、あくまでも長期運用を基本としています。その方針は揺るぎませんし、結果的に必要な収益を確保する最善の方法であると考えています。
――年金に対する不信感が出ているのは、「加入時の約束が確実に履行されるのか」という点です。大丈夫なのでしょうか。
松 本 国民年金基金は給付される年金額を約束しています。確定給付型年金といいます。加入時に取り決めた金額が将来受け取れます。最近増えてきた、支払う保険料を決めて運用の成果によって受け取り金額が変わってくる確定拠出型年金とは違います。ここをぜひご理解いただきたいですね。