オーナー一族が「物言わぬ株主」であると確約するよう求める?
キリンの加藤壹康社長は交渉決裂後の会見で、決裂の理由について「統合した後の新会社が公開会社であることを前提に、どのような経営を行っていくのかという点で両社の認識が一致しなかった」「新たな統合会社は上場会社として経営の独立性、透明性をしっかり担保し、顧客、株主、新会社の従業員から理解、賛同してもらえないと考えた」と述べ、暗にサントリー側の要求が過大だったことを批判した。キリン側が、サントリーのオーナー一族の3分の1超を保有しても、「物言わぬ株主」であると確約するよう求め、サントリー側が拒否したともいわれる。
加藤社長は「交渉を進めていくうちに当初とは異なった要望や見解が持ち上がって、双方真摯に協議したが、溝が埋まらなかった」とも述べ、交渉決裂が単に統合比率だけの問題でなかったとの見方を示唆した。
これに対し、キリンと別に会見したサントリーの佐治信忠社長は「公開会社でも、ファミリーカンパニーのよいところとパブリックカンパニーのよいところを取るつもりだったが、キリンは『今のパブリックカンパニーでいたい』ということだったのかもしれない」「オーナー会社の良さはパブリックカンパニーにはなかなか理解できない。サントリーの111年の歴史、創業家と会社のかかわりを見てくれれば、わかってもらえると思った」などと漏らした。
両社は今後、それぞれに海外を含む新たに提携先を模索すると見られるが、イメージダウンは否めない。