ソフトバンクCM「お父さん」健在 時事ネタ導入飽きさせぬ工夫

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   ソフトバンクのテレビCM「白戸家」シリーズに出演するお父さんの人気が健在だ。3年を迎えるCMシリーズも順調に続き、最新作ではお父さんとお母さんが夫婦旅行へ出発した。専門家は「時事ネタのはさみ方が上手く、飽きさせない工夫がある」と分析する。

   シリーズは2010年2月の放送で、第63弾を迎えた。「予想外な家族」編からはじまったCMも今年6月には3年目を迎える。キャストの北海道犬「お父さん」をはじめ、上戸彩さん演じるソフトバンクショップで働くOL「わたし」、樋口可南子さん演じる「お母さん」、ダンテ・カーヴァーさん演じる「お兄さん」は変わらずに、家族による携帯電話を介したやりとりをつづけてきた。

「土佐」編には龍馬扮する武田鉄矢さん登場

   最近のCMシリーズは連作が続いているのが特徴だ。2009年9月頃には、お父さんがビルの上から落ちてきた家具の下敷きになってしまって以来、一連の「お父さん入院」編へ突入した。とりわけ印象的だったのは、お見舞いに来る家族に対して、「帰れ、帰れ」。家族がいざ帰ろうとすると、彼は弱気にも「帰っちゃうの」と寂しそうにするのだ。いわゆる「ツンデレ」な姿は心をつかんだ。

   2009年11月から放映されたのは「土佐へ出発」編だ。12月に入ると、電車と携帯電話の「乗り換え」をかけたストーリーへと続き、お父さんは兄・カーヴァーさんと電車で一路、高知を目指した。高知といえば、今話題のNHK大河ドラマ「龍馬伝」の主役・坂本龍馬の生まれ故郷。続く、「龍馬かぶれ」編では、「会ってみたかったな。龍馬という男に」とお父さんが言うと、側にいた坂本龍馬扮する武田鉄矢さんが「男はみんな龍馬かぶれです」と返すのが見事に決まった。

   そして、2010年2月2日からは最新作「北国」編がはじまった。お父さんとお母さんがしばらくぶりの夫婦旅行で、雪の福井県を訪れる設定である。

   一方、お父さんはテレビCM以外でも活躍しており、プロ野球「ソフトバンク・ホークス」の応援団長には2年連続で就任した。背番号は「0103(おとうさん)」だ。

好感度1位は3年連続でソフトバンク

   ソフトバンクモバイル広報によると、テレビCMは数週間に1本程度で新作が放映されているという。CM制作でとりわけ力を入れているのは「サービスを訴求する内容が簡潔に伝わること」だ。ストーリーは話の流れに応じて随時、企画されている。ちなみに土佐編の企画は、孫正義社長が時代を切り開いた龍馬の大ファンだったことも一因だったそうだ。

   いずれにしても、一連のソフトバンクCMは人気が高い。CM総合研究所が2009年12月15日に公表した年間CM好感度調査「BRAND OF THE YEAR 2009」では、好感度1位は3年連続でソフトバンクモバイルという結果になっている。その理由は、なぜか――。

   CM総研は「視聴者を飽きさせない工夫が随所に見られます。とりわけ、時事ネタの取り込みが上手い」と指摘する。たとえば、オリンピックの時期には競泳水着姿のお兄さんが登場し、オバマ大統領の話題にもすぐに反応した。前出の坂本龍馬もそうだ。その上、坂本龍馬を武田鉄矢さんが演じたように、ユニークな人材起用も目立つ。

「時間が経っても記憶に残りやすいところがあります。さらに、CMの中できちんと伝えたいことが盛り込まれているのは、効果としても非常に高いものがあります。説明調のCMは嫌われますが、ユーモアにのせてきちんと説明しきっているのが上手いと思います」

   担当者の話では、3年という長期間にわたって、高評価が続くのは非常に珍しい、という。2010年1月のCM好感度調査も1位はソフトバンクモバイルだった。人気の衰えは全く見られず、この人気はしばらく続くだろう、と見ている。

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