高齢者の安否確認サービスも行う
「僧侶ネット」ではほかに、離れて暮らす高齢者の安否を、僧侶が代わりに自宅訪問するサービスも行う。月3回の訪問で費用は4500円。依頼者にはメールでその様子を伝え、写真も添付して報告する。サービスの着想は前出、吉岡さん実体験に基づいている。門徒の自宅を訪問した際、子どもにも言えない話もしてくれた高齢者が多かったのだ。
「見知らぬ人が高齢者を訪問するのは、不安な思いがあると思います。また、子が電話しても本人は、強がってしまうところが意外にあります。その点、僧侶はざっくばらんに入っていけるというか、安心感があるのでしょう」
さらに、サイト内ではメールを通じて人生相談も積極的に受け付けている。今後はページをリニューアルし、人生相談や悩みの受け付けはとりわけ強化していきたい考えだ。「今は人との付き合いが薄くなっていて、孤立感が募っているようにも感じています。そこで一人じゃないよと伝えていきたい」と意気込んでいた。
こうした取り組みは珍しいのか――。宗派を越えて僧侶が集う組織「仏教情報センター」は1983年に立ち上がり、同様の相談を電話で受け付けている。事務局の担当者は「首都圏では核家族化で、葬儀の作法やお布施の金額がわからずにいる人が多かったのが組織されたきっかけ。今でもお布施の相談はとりわけ多い」と言う。たしかに一般の人にとって、お布施のことはわかりにくい。
都内に寺を構えるある住職は「最近は僧侶の派遣もあり、たしかにお布施学が不明瞭なところがあるかもしれません。利用者にとって、僧侶と直接、顔を見ながらやりとりできる仕組みは安心感があると思います」とする。
しかし、ネットを通じての依頼はまだあまりないようだ。