東京都がアニメで「街おこし」を図る。このところ埼玉県や富山県など、アニメで注目を集める自治体が増えているが、もともと都には秋葉原や杉並区、練馬といったアニメに縁の深い地域が数多くあり、日本のアニメ制作会社の80%が集中している。こうした資源を活用して「アニメ観光」を成功させようというわけだ。アニメの舞台になった場所の「聖地巡礼」なども企画し、世界中から観光客を呼ぼう、という計画もある。
東京都産業労働局観光部によれば、2010年度の予算に300万円を計上。1年間で「アニメによる街おこし」のガイドラインをまとめる。都内に点在するアニメのミュージアムや、東京が舞台になったアニメ、アニメ制作会社などのリスト化を進め、海外のアニメファンに向けたガイドブックを作り情報を発信していく。
アニメを観光に使わないのはもったいない
同観光部によれば、アニメ「らき☆すた」の埼玉県鷲宮や、「true tears」の富山県南砺市、「かんなぎ」の宮城県七ヶ浜町などはアニメの「聖地巡礼」で観光客が集まるようになった。それを「街おこし」に結びつけることで国内外から注目が集まった。
東京は、もともとアニメ情報の宝庫だった。日本のアニメ制作会社の80%が集中、杉並区や千代田区などにはアニメのミュージアムが、三鷹には「ジブリ美術館」などがある。また、今年で9回目になる「東京国際アニメフェア」には年間13万人のお客が集まるほか、国内最大のマンガ・アニメの祭典「コミックマーケット」も開催される。
「世界中から日本のアニメなどの娯楽文化が注目されるなか、これだけの観光資源を活用しないのはもったいない」(同観光部)
というわけで、今回のプロジェクトが発足した。
埼玉など近隣の「アニメの聖地」と連動
また、東京にはアニメ「R.O.D」の神田神保町や、「魔法遣いに大切なこと」の下北沢、「鉄コン筋クリート」の吉祥寺などアニメの舞台になった数え切れないほどの場所がある。それらを国内、海外の観光客に紹介し、「聖地巡礼」してもらおうという狙いもある。
「海外のアニメファンは何十年もの間、日本のアニメに親しんでいて、古いアニメでも覚えています。東京の奥深いアニメの文化に興味を抱かないはずはありません」
と自信を見せる。また、埼玉県など近隣のアニメの「聖地」と連動し、観光客に楽しんでもらう仕掛けも検討中なのだという。