トヨタ自動車のハイブリッド車、新型「プリウス」のブレーキに関する苦情が国内でも相次いでいる中で、以前からネットの掲示板やブログに「ブレーキがきかない」といった指摘が書き込まれていたことがわかった。
国土交通省リコール対策室に09年12月から2010年2月3日までに、「ブレーキが1秒程度無効になるため突然減速しなくなる」「減速途中に突然制動力が低下した」といった新型プリウスのブレーキの不具合に関する情報が51件寄せられた。
「いつ追突されてもおかしくない」
追突事故も起きている。09年7月、千葉県松戸市の国道で新型プリウスが信号待ちの車列に追突し、4台の玉突き事故となった。プリウスの運転手は「ブレーキを踏んだが、きかずに追突した」と説明したという。トヨタは国土交通省の求めに応じて事故車両を調査したが、「異常はなかった」と9月に報告している。
人気車種の不具合とあって反響は大きく、巨大掲示板「2ちゃんねる」には「1秒ブレーキきかない間に車がどれだけ走るか。おそろしすぎるよ」「後ろにプリウスいたらマジ危険。いつ追突されてもおかしくない」「新型ブリウスみたら道を譲る事にします」などと次々書き込まれている。
実は問題が表面化する前から、掲示板や個人のブログに新型「プリウス」のブレーキの不具合を指摘する書き込みがあった。
価格比較サイト「価格.com」の新型プリウスの掲示板に09年12月8日、「ブレーキがきかない!!」と書かれていた。キャッツアイ(道路に埋め込まれている夜間標識用のびょう)を乗り越えて右折しようとブレーキをかけて徐々に減速していくと、突然、ブレーキの効きが落ちた。
ブレーキング中に滑るように「スッポ抜ける」感覚?
この筆者は6月に納車してから10回以上も経験していて、前方の車に追突しそうになったこともある。交差点のマンホールの段差でもブレーキがきかない現象が起こった。トヨタお客様相談センターに問い合わせたが、「ディーラーを通して」と言われたそうだ。「私がもしこの現象で人にケガでも負わしてしまったら、一体誰が責任を取るのか?」と憤っている。
この掲示板には別の人物も「ブレーキング中に滑るようにスッポ抜ける感覚」があり、「しょっちゅう体験します」と書いていた。
個人のブログでも、ブレーキを「甘踏み」して坂を降りていったら突然、「まるで後ろから急に押されるように滑り落ちた」と2010年1月5日に書き込まれている。納車して間もなくして何度も経験しているそうだ。
トヨタ自動車はブレーキ時にタイヤがロックして滑るのを防ぐ「アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)」の装置が原因とみて、1月末にソフトの制御変更を行ったと2月4日に発表した。一方、すでに販売した分については、「対応を検討中」と広報担当者は話している。