高速道路の一部路線無料化について、ネット上では「都市部には恩恵がほとんどない」と不満の声が上がっている。無料路線が細切れでその多くが観光地に行くコースに含まれていないからだ。それ以外の路線が一律2000円になれば、実質値上げになりかねないようだ。
「結局どうでもいい地方の過疎路線に落ち着いたな」
「その無料区間に行くまでに いったいいくらかかるんだよwwwwwwwwww」
観光地へ向かうコースに無料路線なし
無料化路線が報道で明らかになると、2ちゃんねるでは、こんなため息のような書き込みが相次いでいる。
前原誠司国交相が2010年2月2日、経済効果や渋滞などの「社会実験」の内容を明らかにしたが、日本地図で見ても、端の方に細切れに路線が点在して見えるからだ。
首都圏では、新湘南バイパス、八王子バイパスなど10キロ前後の路線が数か所だけ。近郊では、日光などの観光地へ向かうコースには無料路線は見つけがたく、東北や北海道、九州など地方に点々としているのだ。
発表では、無料化されるのは、全国37路線の50区間。全路線の18%に当たる。10年6月から11年3月まで、曜日、時間を問わず、すべての車が適用される。
新聞各紙によると、同時に、地方の高速道路が休日に1000円で利用できる現行制度は廃止になる。代わりに、無料路線以外で平日も含めて一律の料金制度が適用され、乗用車が2000円、トラックが5000円になるとも報じられている。
これが本当なら、休日に高速で観光地へ行っていた都市住民には不利だ。ネット上でも、「1000円の実質値上げになる」などと不満が出ている。
さらに、一律料金で割引も圧縮され、その分が道路建設に回されるという報道もあり、トラック業界でも「実質値上げになる」との懸念があるようだ。
無料路線の出入り口付近は渋滞?
このほかの問題としては、沖縄は全線が無料化され、北陸地方は無料路線がないなどの、地域のアンバランスも指摘されている。さらに、無料・有料路線が飛び飛びに現れてETC以外では利用しにくい、無料路線の出入り口付近は渋滞するのではないか、といった懸念が出ている。
無料路線が点在化したことについて、国交省の有料道路課では、「渋滞が起きにくい路線で、他の交通機関への影響を考えるなどしました」と説明する。報道では、国民の反対が多く、予算が6分の1に削られた影響もあるとされている。
一律料金制度については、同課は、「検討メニューの一つということで、割引のことも検討中です」とだけ言う。地域のアンバランスなどについては、「沖縄は、渋滞する主要路線がないのに対し、北陸は、北陸道という幹線道路があります。無料路線と有料路線との接続問題は、検討中です」と説明している。
ツーリズム・マーケティング研究所の田中靖主任研究員は、次のように指摘する。
「無料化で、場所によっては、地域の商圏が変わる経済効果があると思います。例えば、日本海の舞鶴湾地域の人たちは山陰本線で京都に出かけていましたが、今後は高速を使って神戸に行く人も増えるでしょう。しかし、新湘南バイパスなどの無料化は、地元の人は恩恵を受けても、都心からは高速料金がかかるので、飛躍的に利用は伸びないでしょう。社会実験で、大都市からの観光需要を見るとすれば、限定的な効果しか分からないと思います」