「一人勝ち」ソフトバンク 営業利益5000億は目前

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   「過去最高の利益を出すことができました」。2010年2月2日に開いた09年4月~12月期の決算発表会で、ソフトバンクの孫正義社長は胸を張った。減収減益となったNTTドコモとKDDIを尻目に、ソフトバンクが「一人勝ち」の状態。1年前には経営不安説が流れていたのがウソのようだ。

ライバルを尻目に過去最高益を記録

ソフトバンクの決算発表会はユーストリーム(Ustream)でネット中継された
ソフトバンクの決算発表会はユーストリーム(Ustream)でネット中継された

   ソフトバンクが2月2日に発表した09年4月~12月期の連結売上高は前年同期比3%増の2兆453億円。営業利益は33%増の3663億円と過去最高を記録した。一方、携帯電話業界のライバルであるNTTドコモとKDDIはいずれも減収減益で、対照的な業績となった。

   好調な業績の理由として、孫社長は「アイフォーン(iPhone)の好調が最大の要因」と説明。09年に大きく売り上げを伸ばしたアップル社製のスマートフォンが業績拡大に大きく貢献しているとの見方を示した。携帯電話全体の契約数の伸びも順調で、2009年の純増数は、ドコモ(128万件)やKDDI(84万件)を上回る167万件で2年連続トップだった。

「一生懸命がんばって経営している結果が出た」

   という孫社長。2009年3月期通期の営業利益は4200億円の見通しだが、翌10年3月期は5000億円の大台にのると強気の予測を立てている。

   決算発表会があった2月2日には、ネット業界が注目する大きな発表がもう一つあった。ソフトバンクが米国の動画配信サービス会社「Ustream(ユーストリーム)」に資本参加したことが明かされたのだ。まず、出資比率13.7%にあたる2000万ドル(約18億円)を出資。2011年7月までに総額7500万ドル(約67億5000万円)を出資し、筆頭株主になる予定だ。

世界初?決算発表会をユーストリームでライブ中継

   ユーストリームは、個人が無料でライブ動画をネット配信できるサービスを運営しているベンチャー企業。サービス利用者は全世界で月間5000万人以上に達し、今後さらなる広がりが見込まれている。今回のソフトバンクの決算発表会もユーストリームで中継された。孫社長は

「決算発表をユーストリームでライブ配信するのは、おそらく日本では初めて。アメリカでもそういう話は聞いたことがないということなので、もしかしたら世界でも初めてかもしれない」

   と顔をほころばせた。

   思う存分、絶好調ぶりをアピールした孫社長だが、1年ほど前には週刊誌などに「経営危機説」も流れていた。そのことについては、孫社長自身が決算発表会で、

「昨年度はリーマンショックで世界の景気が非常に崩壊して、世界中の投資家や企業のみなさんが大変な不安に陥った状況だったので、ソフトバンクに対しても『経営不安説』なるものが一部メディアで騒ぎ立てられたりしたこともあった」

   と言及したほどだ。株価もリーマンショック直後の09年10月に650円まで下落したほか、09年3月にも1100円台を低迷した。ところが、4月以降は右肩上がりを続け、10年2月には2400円台と3月時の2倍以上に達している。

   ソフトバンクは2月4日から、新規契約の「学生とその家族」の基本料を無料にするキャンペーンを開始し、他社からの乗り換えを促す作戦に出る。ドコモとKDDIに対する追撃の手をゆるめる気は毛頭ないようだ。

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