小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体の土地購入をめぐる事件で、事態が急展開を見せている。これまでは「在宅起訴」との観測があったが、それが一転「不起訴処分にする方向で調整に入った」と複数のメディアが伝えている。一方、元秘書で衆院議員の石川知裕容疑者(36)が「土地代金4億円の政治資金収支報告書の不記載を小沢氏が了承していた」旨の供述をしていたと報じる社も複数あり、事態は流動的だ。
動きが早かったのはTBSだ。2月2日夜に放送されたニュース番組「News23」の終盤、「東京地検特捜部が、小沢幹事長を不起訴処分にする方向で最終的な検討を行っていることが分かった」などと報じた。現状では、小沢幹事長の事件への関与を立証するのが困難だというのが、その理由だ。共同通信も、これに続く形で、日付が変わった直後に「現状では立証が困難として不起訴の方向で検討を始めたもよう」とした。
一方、時事通信は、2月2日深夜の時点で、「小沢氏が虚偽記載了承」との見出しで、石川容疑者の供述内容を伝えるに留まっている。
朝日は紙面の社外持ち出し禁止
翌2月3日の朝刊紙面でも、各紙の対応は分かれた。「不起訴説」をとったのが朝日新聞と毎日新聞で、1面トップに「小沢氏不起訴の方向」と、全く同じ見出しが並んだ。不起訴検討の理由は、TBSと同様だ。
なお、朝日新聞東京本社編集局は3日午前1時47分の段階で、ツイッター上に
「きょうは(編注: 他社に特ダネの情報が漏れるのを防ぐために、紙面の社外持ち出しを禁じる)『持ち禁』(もちきん)の日でした。1面にまだ発表されていない2つの大きなニュースがあったためです。申し訳ありませんが、内容は他紙との競争の関係で、まだつぶやけません。ぜひ朝刊を見てください」
と書き込んでおり、小沢氏のニュースは同社の特ダネだと受け止めている様子だ(もう1本の特ダネは、「プリウス ブレーキに苦情」)。
読売新聞と日本経済新聞はやや抑制的で、石川容疑者が2月4日に起訴されるとみられることに関連して、
「小沢氏の刑事処分について、最高検などと協議して最終判断する」「検察内部には、現段階の証拠では共謀を裏付けるには十分でないという消極論も強い」(読売)
「特捜部は、共犯として刑事告発された小沢氏については上級庁と協議したうえで、立件の可否を最終判断する。現状では、共謀関係の立証は難しいとの見方もある」(日経)
と、今後の展開に含みを残した書き方だ。さらに、読売の1面トップを飾ったのは、小沢氏のニュースではなく「高速道路の無料化」だ。2月3日については、小沢氏問題を積極的に取り上げた様子ではなさそうだ。
一方、産経新聞の1面トップは
「4億円不記載『小沢氏の了承得た』石川容疑者が供述」
として、時事通信と同様の伝え方をしている。