トヨタ自動車がアクセルペダルの不具合で大量のリコールを発表した問題で、米国内で同社への風当たりが強まっている。特に米メディアでは、この問題が大きく報じられており、対応が後手に回っていることを批判する論調も目立つ。特に、タイム誌の「リコール・トップ10」という特集では、中国製のメラミン入り粉ミルク事件などを押さえて1位にランクインするという不名誉ぶりだ。
今回のリコールをめぐっては、リコール対象の8車種について販売の一時停止やラインの停止が発表されたこともあって、米国内でトヨタへの批判が広がっている。メディアも、その例外ではない。
トヨタ側の対応の遅さが際だつ記事内容
例えば米タイム誌は1月29日、「製品リコール・トップ10」と題したランキングを発表したが、その1位は「トヨタの欠陥ペダル」。ベビーベッドでの死亡事故、中国製粉ミルクの事故、ブリヂストン・ファイアストン(現ブリヂストン・アメリカズ・インク)製のタイヤのリコールなどを押しのけてのランクインだ。
ランクインの理由を説明した記事では、トヨタが全世界でのリコールの対象にした台数が900万台以上にのぼることを、
「これは多い。実際、これは全自動車メーカーが09年に全米で販売した自動車の台数と、ほとんど同じだ」
と論評。リコールの対象の大きさが上位ランクインの一因となったようだ。
一方、トヨタの対応方針を批判するメディアもある。ニューヨーク・タイムズ紙は、2月1日には「トヨタは、命に関わる問題に気付くのが遅かった」と題した長文記事を掲載。一連の問題の発端となった事故は02年に表面化していたにもかかわらず、09年11月の段階でも、問題のマットを取り外すように呼びかけるという対応にとどまっていたことから、
「ほとんど全てのステップで、トヨタは人気車種に起こった『急加速』問題の深刻さを軽視した」
などと非難した。グラフや表も豊富で、その中でも、事故とトヨタ側の対応を対比する形での一覧表は、トヨタ側の対応の遅さが際だつ内容になっている。