「ネギ湯」や「ネギ湿布」に代表されるように、ネギは風邪の予防や鎮静に効くと昔から言われている。これまで科学的根拠はなかったが、最近、ネギ抽出物にA型インフルエンザの感染予防作用があることが、富山大学のマウスを使った研究でわかった。
高いウイルス増殖抑制作用がある
西日本有数のネギの生産地である大分県では、各地で周年栽培が盛んに行われている。生鮮品として出荷される一方で、選別の過程で多量の廃棄品が出ている。地元で大手食品メーカーの協力工場を営む佐々木食品工業はネギの有効利用を探るため、富山大学大学院医学薬学研究部生薬学研究室の林利光教授に研究を依頼した。
実験ではA 型インフルエンザウイルス(H1N1)を鼻から感染させたマウスを使い、感染の1週間前から1週間後までの2週間にわたってネギの熱水抽出物を経口投与するグループAと、何もしないグループBの2つに分けた。
感染から3日後、肺や気道のウイルス量と、毒素を中和して生体を防御するたんぱく質「抗体」の産生量を測定したところ、ネギの熱水抽出物を投与したマウスに高いウイルス増殖抑制作用があることがわかった。