携帯の着信音に神経ピリピリさせる毎日
なぜ会社説明会が、すぐ満員になるのか。
リクルートでは、「採用を減らして説明会の人数も絞っていることより、学生が苦労している先輩を見て、危機感や強いあせりを持っているからでは」とみる。ディスコの広報担当者も、同様な見方をしている。厳しい就職事情を考え、「とりあえず席を押さえておこう」という学生が多いため、人数が増えている可能性もあるという。
学生側も、席確保に、あの手この手で対応している様子だ。
ある有名私大の3年生男子(21)は、2010年1月上旬に、パソコンサイトも利用できるiPhoneを購入した。
携帯電話に直接、あるいはパソコンからの転送で、企業から説明会案内のメールが来る。ところが、説明会申し込みは、パソコンサイトからでないとできないことも多い。そこで、スマートフォンのiPhone利用を考えたわけだ。
ネットブックもあるが、起動に時間がかかったり、電車の中や授業中は見ることが難しかったりするという。
前出のディスコ担当者は、「合同企業説明会で、入場するのに携帯画面を見せてもらうのですが、iPhoneの学生が多いと聞いたことがあります」と明かす。
日本でiPhoneは、09年に前年より4倍ほども売れたとみられている。就職対策で買った人も多かったのかもしれない。
もちろん、買えばいいというわけにはいかない。前出の早大生は、こう訴える。
「お金がかかりますので、買っていません。パソコンから携帯にメールを転送させているほか、できる限りパソコンのある場所にいることを心がけています。しかし、すぐに申し込む必要がある見た者勝ちのメールもあるので、着信音に神経をピリピリさせている毎日です。メールが多すぎて携帯に来まくりなのもつらいので、企業は、説明会の枠を早く増やしてほしい」