「渡したとしても理解は難しいのかな」
ハイチに詳しい援助団体は、この騒ぎをどうみているのか。
NPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」のある担当者は、日本から千羽鶴を贈る動きは聞いていないとしながらも、こう話す。
「確かに、心を込めて作ったと理解してくれるハイチの人たちはいるかもしれません。しかし、個人的な意見としては、渡したとしても理解は難しいのかな、と思います。文化や宗教などの違いで、気持ちは伝わっても、『そんなもの』となるかもしれないからです。情勢が安定すれば渡すのは不可能ではなく、NGOが支援した地域に渡すのならいいかもしれません。ただ、食べられるものの方がありがたがられる可能性はあります」
代表者が被災地で援助活動を始めたという「ハイチ友の会」の関係者は、ブードゥー教が支障になる可能性も認める。
「ハイチの人たちは、ほとんどがカトリックですが、アフリカ系宗教が一部で信仰されています。千羽鶴を贈るには、配慮がいるかもしれませんね」
ハイチには、援助物資を届けることさえ困難だという。
「直接ハイチには入れず、赤十字さえドミニカから陸路で入ったほどです。今はコストがかかりますので、物品は受け付けておらず、千羽鶴を届けるのはかなり後でないと考えられません。それでも、貧しい国ですので、学校や教会が運営できるようになって、そこに届けることぐらいしかできないでしょう」
もし千羽鶴を贈れるようになったとしても、ハイチの人たちはどう受け止めるのか。
ハイチ共和国大使館の関係者は、「自己満足からではなく、相手の気持ちを考えて贈る方がやはり喜ばれます。千羽鶴の意味を伝えるのも、そんなに簡単ではないかもしれません」と話す。一方で、「鶴のことについては、問題はそんなにないと思います。日本から来れば、悪魔などと結びつけることはないからです。日本を知っている人を通じて言葉で説明すれば分かり、たぶん喜んで受け取られると思います。大使館に来れば、対応を考えますよ。危害については、気をつければ大丈夫でしょう」と話している。