テレ東番組「ルビコンの決断」 「ウォークマンの逆襲」はやりすぎ

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「あまりにも強引すぎる」番組構成

   たとえば、1月22日発行の日刊ゲンダイは「テレ東『ウォークマンの逆襲』の不可解」と題した記事を掲載。「トップシェア奪還といっても、昨年8月末からの2週間だけ。iPodのシェアは今年に入っても独走が続いている」という家電関係者の声を紹介しながら、

「ま、『ものづくり日本ガンバレ!』ってことで番組を制作したんだろうけど、半年も前に一瞬勝っただけのことを仰々しく持ち上げているのを見ると、逆に切なくなってくるのだ」

と結んでいる。ネットでも、「Maimaikaburi」というブログが「間違った論点のドラマを作った」とテレビ東京を批判している。

「互角に戦える位に復活したという印象でつくられていたドラマには多いに不満を感じた。ニューモデル発売間際の2週間(Appleが新製品に合わせ出荷調整の期間)に4年8ヶ月ぶりにシェアを奪還したことをことさら重要視して逆襲と言いたかったのだろうが、それではあまりに強引すぎるのだ」

   番組では、ウォークマンの首位奪還がわずか2週間にすぎなかったことにも一応触れていたが、その後の動きについては年末の数字を紹介しただけで、詳しく取り上げなかった。また、なぜ逆転現象が生じたのかについて、ソニー側の視点のみで描き、アップル側の事情に触れなかった。

   だが、このシェア逆転が起きた09年8月末は、iPodの新製品が発売される直前で、店頭の在庫が少なくなるとともに、消費者の買い控えが起きていた時期だったのだ。ちょうどこの頃、調査会社BCNのアナリスト・森英二さんはJ-CASTニュースの取材に対して、

「新製品の内容にもよりますが、アップルが首位を奪い返す可能性は大きいでしょう」

と答えている。実際、アップルが9月10日(日本時間)に新型iPodを発表すると、シェアは一気に逆転。9月末には、アップル68.3%、ソニー22.7%と40ポイント以上の大差がついた。その後、ソニーは40%近くまでシェアを戻したが、アップルも50%以上のシェアを保っており、iPodの優位は変わっていない。

   ソニーがアップルに対抗するためにさまざまな改革に取り組んできたのはその通りだろうし、他の家電メーカーが次々と携帯音楽プレーヤー市場から撤退するなかで、唯一ソニーのみがアップルのライバルたりえているのも事実だ。だが、「徹底したペン取材」にもとづく「報道番組」をうたっている割には、今回の「ルビコンの決断」はバランスを欠いているように感じる。

   番組についてテレビ東京に取材を申し入れたが、広報担当者の回答は、

「J-CASTさんの取材には、お答えできないことになっております」

というものだった。

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