百貨店閉鎖の波は徐々に都心部にも押し寄せる
セブン&アイは06年に現在のそごう・西武の前身であるミレニアムリテイリングを傘下に収め、百貨店事業に進出した。コンビニエンスストアやスーパーに加え、かつての小売りの雄を取り込むことで、あらゆる消費者層のニーズを汲み取る狙いだった。従来より低価格の商品を導入し、客の幅を広げることで収益を立て直す改革を進めているが、成功しているのは西武池袋店、横浜そごう、千葉そごう、神戸そごうといったターミナル駅に近い店舗が中心で、競合が激しい地域ではなお苦戦が続いている。セブン&アイグループの稼ぎ頭のセブン・イレブンもコンビニの飽和化で収益にかげりが見え、セブン&アイ全体に百貨店を支える余裕がなくなったともいえそうだ。
百貨店業界では、09年5月に三越が池袋店(東京)を閉鎖、同8月末にはそごう心斎橋店(大阪)も閉店した。撤退の大波は徐々に都心部にも押し寄せている。消費者の節約志向の高まりによるカジュアル専門店の台頭、インターネットショッピング市場の拡大などの地殻変動はますます強くなっており、まだまだ閉鎖の動きが続きそうだ。