「全面禁煙化」に抵抗する 和歌山県タクシー協会の言い分

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禁煙化が進む中で、タクシーなら一服できるだろうという期待

   大阪よりも禁煙化されていないのが和歌山県だ。県の健康づくり推進課によると、県内のタクシー1875台のうち、禁煙車は31台と全体の1.6%にとどまる。県側は和歌山県タクシー協会に禁煙化の実現を申し入れており、文書こそ出していないが「知事もこの問題の重要性を認識している」と同課は説明する。

   だが県タクシー協会に聞くと、「検討はしているが、今のところは様子を見ている状態だ」と回答。「ただでさえ各施設で禁煙化が進む中で、タクシーなら一服できるだろうとお客様が乗ったら吸えなかった、では忍びない」と協会は話す。また、喫煙したい客とのトラブルや、喫煙者が利用しなくなり減収の恐れがあるというのも、禁煙化決定に至らない要因に挙げた。

   実際はどうなのか。日本交通(本社・東京)は04年12月、全面禁煙に踏み切ったが、実施後も客と運転手の間で大きなトラブルはなく、収入にも響かなかった。「むしろ、お客様から『禁煙化してくれてよかった』とのハガキが当社に届きました」(同社営業統括課)。この話を和歌山県タクシー協会にぶつけると、「和歌山では、繁華街でタクシーを拾うお客様が多いが、その際にたばこを吸っている方も多いのです。ほかの地域では禁煙化の影響は出なかったかもしれませんが、和歌山も同じ結果になるとは言い切れないでしょう」と反論する。

   とは言え、受動喫煙対策は進めていると話す。最近では、同協会に属するタクシー会社に、たばこのにおいまで分解する強力な空気清浄機の設置を促した。すでに1社では購入を済ませ、今後タクシー150台に取り付けるという。だが全面禁煙についてはあくまで「検討中」。県健康づくり推進課は、5月31日の「世界禁煙デー」に向けて実現させたい考えだが、現段階では協会と温度差があるのは否めない。

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