国会議員の資産公開では「該当なし」と記載
もっとも、小沢一郎氏は、家族に一時的な「名義借り」をしており、心臓病が治るなどしたので返してもらったと、反論することもできる。ただ、この場合でも、問題が出てくる。
国会議員の資産公開で、小沢氏は「該当なし」と記載しており、資産隠しの疑いが持たれてしまうからだ。
小沢氏は定例会見などで、個人資産について隠す意図はなかったと釈明する。とはいえ、家族名義資金が「生前贈与」に当たるのか、あるいは「名義借り」に当たるのか言及していない。
贈与税の脱税になるとすれば、どんな場合なのか。
遺産相続などに詳しい日高正樹税理士は、本人と家族が贈与に合意していて、財産の所有権が移っているかどうかがポイントになるとする。
「家族が口座を知らなかったり、知っていても使えなかったりするようなら、名義借りになります。つまり、贈与の合意が必要で、民法上は、口頭でもよいことになっています。しかし、どのようにそれを証明するかは別問題で、税務署が総合的に判断することになります。最終的には、家族が口座を使えるかが争点になるでしょう」
「脱税」の可能性もあるのに、小沢氏はなぜこうした説明をしたのか。
元東京地検検事の大澤孝征弁護士は、テレビ朝日系で2010年1月26日放送の「スーパーモーニング」で、鳩山由紀夫首相の違法献金事件との兼ね合いを挙げた。「家族の中でお金が回っただけじゃないか、だから、そんなに重たい処分にする必要がない、と言いたいんじゃないかと思います」。
しかし、不可解な点も多い。土地購入の原資についての小沢氏の説明が、政治献金から銀行融資、そして今回の個人資金と二転三転しているのだ。小沢氏は否定しているが、東京地検特捜部は、原資がゼネコンからも出ていたとみているとされ、予断を許さない状況だ。