追いつめられた?小沢氏 定例会見での「高圧姿勢」転換

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   「記者会見は好きではない」。そう公言して、記者会見で高圧的な姿勢を見せてきた民主党の小沢一郎幹事長の態度が一変した。これまでは不機嫌そうな表情を露骨に示し、記者をなじるような言い草が目立った。しかし検察の事情聴取を受けてから初めてとなった定例会見では、時折笑顔も見せながら、穏やかな語り口で質問に答えていた。

これまでの定例会見とは明らかに雰囲気が違う

記者会見で笑みをこぼす小沢一郎幹事長
記者会見で笑みをこぼす小沢一郎幹事長

   小沢幹事長は東京地検特捜部の事情聴取を受けた2010年1月23日の夜に、東京都内のホテルで緊急会見を開いたが、幹事長としての定例会見は2週間ぶりだ。民主党本部の会見場には約100人の報道関係者が詰めかけ、約20分間の質疑応答を行った。

   当然のように質問は、資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐる問題に集中。「売買代金の支払い後に定期預金を担保に借り入れをしたとき、その使い道を秘書に聞かなかったのか」という質問に対しては、

「具体的な方法については一切聞いていない。私自身としては、買うという方向性を決めて資金を提供したというところまでが自分の行動の範疇だった。具体的に事務をどう取り扱うか、相手方とどう交渉するかについては、(秘書を)信頼してまかせていた」

と土地取引の前後の不自然な資金の出し入れについては関与を否定した。そのほかにも陸山会関連の質問が出たが、事情聴取後の会見とほぼ同じ回答で、取り立てて目新しい材料はなかった。

   むしろ際立っていたのは、これまでの小沢幹事長の定例会見とは明らかに雰囲気が違っていたことだ。

「『幹事長辞任しろ』という世論の動向気にしているのでは」

   前回の1月12日の定例会見も土地取引問題が焦点となったが、小沢幹事長は「関連したものはいっぺんに答える」と言って、まとめて8人から質問を受けたうえで、具体性に欠ける回答をした。なかには記者の質問内容にまったく答えていないものもあったので、強引に再質問する記者も出た。だが、小沢幹事長は、

「ちゃんと指されてから言わなくちゃダメでしょう。ルールは守ってください」

と記者を非難して、回答を避けた。

   小沢幹事長が記者に強い態度で臨むのは、毎回といってもよかった。中国副主席と天皇陛下の「特例会見」が問題になった09年12月14日の会見では、記者に向かって、

「君は日本国憲法を読んでいるかね? 天皇の行為はなんて書いてある?」

と逆質問。うまく答えられない記者をなじるかのような態度をとった。そのほかの会見でも、小沢幹事長は報道陣と友好的とはいいがたい雰囲気だったが、それが一種の「小沢らしさ」とも受け止められていた。

   ところが、事情聴取後の1月25日の定例会見ではうってかわって、物腰の柔らかい回答ぶり。前回のような「一括回答方式」を取らず、一つ一つの質問にていねいに答えていった。小沢氏の変化について、フリージャーナリストの田中龍作さん

「小沢氏の顔は色つやがなく、声にも張りがなかった。4時間に及んだ事情聴取の疲れもあるだろうが、だいぶ追い詰められているのかもしれない」

と推測する。同じく会見に出席した政治ジャーナリストの安積明子さんは

「小沢さんは守りに入っているなと感じた。これまでは挑発的なことを言っていたが、今日は受け身で攻撃的な姿勢がなかった。おそらく『幹事長を辞任しろ』という世論の動向を気にしているのではないか」

と分析している。

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