「『幹事長辞任しろ』という世論の動向気にしているのでは」
前回の1月12日の定例会見も土地取引問題が焦点となったが、小沢幹事長は「関連したものはいっぺんに答える」と言って、まとめて8人から質問を受けたうえで、具体性に欠ける回答をした。なかには記者の質問内容にまったく答えていないものもあったので、強引に再質問する記者も出た。だが、小沢幹事長は、
「ちゃんと指されてから言わなくちゃダメでしょう。ルールは守ってください」
と記者を非難して、回答を避けた。
小沢幹事長が記者に強い態度で臨むのは、毎回といってもよかった。中国副主席と天皇陛下の「特例会見」が問題になった09年12月14日の会見では、記者に向かって、
「君は日本国憲法を読んでいるかね? 天皇の行為はなんて書いてある?」
と逆質問。うまく答えられない記者をなじるかのような態度をとった。そのほかの会見でも、小沢幹事長は報道陣と友好的とはいいがたい雰囲気だったが、それが一種の「小沢らしさ」とも受け止められていた。
ところが、事情聴取後の1月25日の定例会見ではうってかわって、物腰の柔らかい回答ぶり。前回のような「一括回答方式」を取らず、一つ一つの質問にていねいに答えていった。小沢氏の変化について、フリージャーナリストの田中龍作さんは
「小沢氏の顔は色つやがなく、声にも張りがなかった。4時間に及んだ事情聴取の疲れもあるだろうが、だいぶ追い詰められているのかもしれない」
と推測する。同じく会見に出席した政治ジャーナリストの安積明子さんは
「小沢さんは守りに入っているなと感じた。これまでは挑発的なことを言っていたが、今日は受け身で攻撃的な姿勢がなかった。おそらく『幹事長を辞任しろ』という世論の動向を気にしているのではないか」
と分析している。