「もっと慎重に議論する必要がある」
さらに、企業が新聞記事などを複製利用する場合、現在は年間10億円以上の使用料を払っているとして、
「ウェブページが許諾なく無料で印刷されることになれば、企業は著作物の複製利用の契約や許諾申請をやめて、ウェブページの印刷に流れると予想され、現在、許諾システムで得られている権利者の収入は、著しく損なわれることになります」
と主張している。
ビジネスの現場では、仕事に役立つ情報をネットで探し、必要に応じて印刷するということがごく当たり前に行われている。しかし現行の著作権法では、このような行為は違法とされる可能性が高い。文化庁著作権課の職員も「完全にクロとは言い切れませんが、シロとも言えませんね」と言う。
だからこそ経済や文化の発展のために、フェアユースを導入して堂々とウェブページを印刷できるようにすべきだとも思えるが、新聞や雑誌からすれば、自らの利益を侵害する行為と映ってしまうようだ。新聞協会の担当者は、
「何が『フェア』であるかの議論が尽くされないまま『フェアユース規定』が導入されてしまうと、企業内でウェブページをコピーして勝手に配るようなことが広がる恐れがあります。現状ではまだ拙速すぎるので、もっと慎重に議論する必要があるということです」
と説明している。