民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、東京地検特捜部が小沢氏の妻にも聴取に応じるように打診していたとの報道も相次いでいる。その理由は「小沢氏が提供したとされる資金の一部が、妻名義だったから」とも伝えられている。妻は、新潟県で最大規模のゼネコン「福田組」元社長の長女で、同社の大株主でもある。鳩山家とブリヂストンとの関係が取り沙汰されたばかりだが、小沢氏関係の親族からの資金流入もクローズアップされる可能性も出てきた。
新聞各紙が2010年1月20日~21日に伝えた内容を総合すると、小沢氏は今週末にも特捜部の事情聴取に応じ、土地購入資金の内訳などについて説明するものとみられる。ところが、地検は、資金の中に妻名義のものが含まれていることから、妻も任意聴取を行って資金の出所を確認したい意向だとも伝えられている。では、妻の「資金力」の源は、どこにあるのか。
田中元首相と関係深い「福田組」の創業一族の出身
実は妻は、新潟県で最大規模のゼネコン「福田組」の創業一族の出身で、1953年から2007年にかけて、50年以上にわたって同社の代表取締役を務めた福田正氏=09年に93歳で死去=の長女にあたる。正氏が同社を成長させたとされ、08年の売上高は約1607億円(連結ベース)にも及ぶ。
09年3月に提出された福田組の有価証券報告書によると、妻は08年末時点で同社株式の3.03%にあたる136万3000株を保有しており、第8位の大株主だ。さらに、第2位の大株主(6.77%、304万1000株)だった正氏が09年10月に死去しているので、正氏からある程度の株式を相続した可能性が高く、その分、妻は多くの株式を保有しているものとみられる。
東証1部に上場している同社の株価は167円(1月21日終値)なので、妻が保有している同社株の資産価値は「数億」はあるものとみられる。鳩山家と石橋家(ブリヂストン)との関係には遠く及ばないものの、小沢幹事長も身内に資産家を抱えていることが鮮明になった形だ。
妻を紹介し、仲を取り持ったのも田中元首相
なお、資産形成の原動力となったのが、新潟県に地盤を持っていた故・田中角栄元首相とのつながりだ。正氏は田中元首相の有力後援者で、元首相とのパイプを太くしていくことで、公共事業を中心に成長を遂げたとされる。小沢氏が妻と結婚したのは衆院議員2期目の1973年のことだが、その仲を取り持ったのも田中元首相だ。
なお、正氏の次女は、竹下登元首相の弟にあたる竹下亘衆院議員に嫁いでおり、かつての「経世会人脈」の一端を垣間見ることもできる。