ミニブログ「twitter(ツイッター)」上に「和光市駅前で通り魔発生。犯人は逃走中」という呟きが2010年1月19日、投稿された。結局被害者とされた女性の「自作自演」で、通り魔事件は起きていなかったものの、ツイッター上で情報が広がり、一時騒然となった。
同日14時半ごろ、東京都のユーザーが次のような呟きを投稿した。
「埼玉県和光市、和光駅前で通り魔発生とのこと。女性が刺され、犯人は逃走中。近辺にお住まいの方、通る方、くれぐれもご注意あれ!」
「狂言」にも関わらずデマが広がる
この呟きを、他のユーザーがすぐさま引用。一部のユーザー間で、
「まじ?」
「近いぞ…。帰るのこええええ」
といった反応が起き、一時騒然となった。
だが、同日13時にはすでに和光市長、松本武洋氏が、
「犯人が逃走中なので警戒してください、と書いていたら第二報があり、実はそうではなく、ご本人(編注:被害者とされた人間)の自作自演らしいという報告がありました。いやいや焦りました」
と投稿している。「狂言」だったことが明らかになっていたにも関わらず、それを上回る勢いで、デマが広がってしまったようだ。
市によると、午前10時に消防から「和光市駅付近の路上で女性が見知らぬ男性に刺された」という連絡が市役所に入った。それを受け、市は教育委員会を通して、学校から連絡網で各家庭に連絡。13時には被害者の自作自演だったとわかり、それも連絡網に流したが、より広く知らせるため、市長自らツイッターで流したという。
「ツイッターも『疑ってかかる心』が大事」
ツイッターでは、自分が登録している人の最新の呟きが、自分のページ「タイムライン」上に表示されるため、情報の伝播速度が極めて速い。そのため、しばしば真偽不明の情報が一気に広がることがあり、09年12月にも、「RHマイナスの血液が足りません。ご協力お願いします」というデマで騒ぎになったばかりだ。
ITジャーナリストの井上トシユキさんは、
「こうしたことは2ちゃんねるの時代からもありました」
と指摘する。ただ、ツイッターではリアルタイム性が高まり、より早いスピードで伝播するようになった。
「リトゥイートで簡単に呟きを広めるシステムもありますし、止めようがありません。悪意はないにしても、早い段階でおかしいと思う人が、もっといてもいいと思います。今後はツイッターでもウラやソースを気にするようになるのではないでしょうか。やはり大事なのは『疑ってかかる心』ですね」
と話している。