民主党の小沢一郎幹事長の政治資金問題をめぐり、党内の新人議員が「ダンマリ」を決め込む中、メディアでわずかながら小沢氏に「モノ申す」議員も現れつつある。「テレビ出演した議員が国対幹部に叱責された」という報道もあるが、それでも、党内の「小沢幹事長は事情聴取に応じるべきだ」との声は抑えきれない様子だ。
小沢幹事長が検察との対決姿勢を鮮明にした2010年1月16日の党大会後、報道陣は議員に対してコメントを求めたが、ほとんどの議員が「ほぼ無言」。当日のニュース番組では、福田衣里子衆院議員や田中美絵子衆院議員といった「1年生議員」が足早に会場を後にする様子が繰り返し紹介された。
「こういうときに出なければ政治家ではない」
ところが1年生議員の中にも、この問題に関して口を開いた議員がいる。09年夏の衆院総選挙の神奈川11区で小泉進次郎衆院議員と戦い、比例区で復活当選を果たした横粂勝仁衆院議員だ。横粂議員は10年1月18日朝、TBSの情報番組「朝ズバッ!」に約20分にわたって出演。献金問題に関する自らの見解を述べた。
冒頭、司会のみのもんたさんが、岸井成格・毎日新聞特別編集委員氏に対して
「この時期、民主党の若手の横粂さんが(出演)OKっていうのはどうですか?」
と話をふると、岸井氏は
「いいんじゃないですか?若くて。怖いもの知らずかも知れない」。
このやり取りに対して、横粂議員は
「こういうときに出なければ政治家ではないと思っており、やはり批判を受けるのが政治家。それに対してしっかり説明をするのも政治家だと思っている」
と言い切った。小沢幹事長が、検察の事情聴取に応じていないことについては
「捜査段階だという限界はあるのだと思うが、これから順次捜査が進むにつれて、しっかりと応じていただきたいと思っている」
「党大会で、(小沢幹事長が)輿石東・職務代行に『これから(自らの仕事を)委任することも増えてくる』とおっしゃっていたので、その分時間が空くと思う。その時間を利用して聴取に応じていただきたいと思う」
と、聴取に応じるように求めた。
横粂氏の発言を国体幹部が叱責?
さらに、小沢氏の政治的・道義的責任についても
「一定程度の責任はあると思っていて、政権交代に込められた期待を実現していくことの責任もあると思っている。そのどちらを優先していくかは政治家としての、党としての決断の時だと思っている」
と述べた。ただし、みのさんの
「民主党の若手の中からさ、『小沢さん、全部きちっと説明してくれ』というような意見とか出ないかな?」
という質問には、
「まだ新人議員同士で集まる機会もなかったので、本日(1月18日)より通常国会が始まって、若手の中での意見交換が進むと思う。でも、それより先に幹事長の方が、ご自身で応じていただけるものだと期待している」
と、やや歯切れが悪かった。
それでも、横粂議員の発言は、小沢幹事長に対して、説明責任を果たし、任意聴取に応じるように明確に求めるという点で、新人議員の中では際だっていた。
ただし、この発言は、民主党を刺激したようだ。
1月18日の国会対策全体会議では、山岡賢次国対委員長が、約140人の新人議員を集めて、地元有権者から献金問題について質問された際の「模範解答」を講義。この会議が終わった後、横粂議員の発言について「国対幹部が叱責する場面もあった」(1月19日、日本経済新聞)のだという。
横粂事務所では、この件について「事務所としては把握していない」と話しているが、叱責したことが事実であれば、民主党が「小沢問題」について、締め付けを強化していると言えそうだ。
ただ、この「締め付け」、本当に効果があるのかは議論が分かれそうだ。1月19日の産経新聞では、福岡8区で麻生太郎前首相に敗れ、比例区で初当選を果たした山本剛正衆院議員が、
「幹事長はやましいことがないのなら出るところに出て、検察の事情聴取を正々堂々と受けるべきだ。男なら男らしく、自分でケリをつけるべきだ。それが小沢幹事長らしさでもある」
と主張。今後も、新人議員から同様の声が相次ぐ可能性もありそうだ。