デルやヒューレット・パッカード(HP)など、パソコン(PC)メーカー各社が相次いで「タブレットPC」という新種のモバイル機器を発表している。薄型タッチディスプレイを搭載し、ワイヤレスでネット接続できる機器で「スマートフォンとノートPCの中間的存在」だという。2010年1月中にアップルも参入を発表するという報道もあり、今後一気に普及する可能性がある。
米ネバダ州ラスベガスで1月7日から10日にかけ、世界最大級の家電見本市「CES 2010」が開催された。そこで今回、電子書籍リーダーや3Dテレビと並んで注目を集めたのが、「タブレット」というタッチディスプレイ搭載のモバイルネット機器だ。
「ネット接続に主眼置いた、新しいモバイル機器」
まず先陣を切ったのがHP。開催前日の6日、米マイクロソフトのパルマ―CEOによって、同社の「ウィンドウズ7」を搭載したHP社製のタブレットPCが発表された。10年後半にも発売される予定だという。ディスプレイは約26センチで、具体的なスペックは発表されなかったものの、インターネット接続の他、電子書籍にも対応すると見られている。
またデルも翌7日、グーグル製のOS「アンドロイド」を搭載したタブレットPCを発表している。こちらのディスプレイは約13センチで、アップルの「iPhone」を若干大きくしたような印象だ。ツイッターやフェイスブックなどのアプリに対応し、年内にも発売される見通しだという。
PC雑誌編集者は、タブレットPCに関し、
「09年秋に、タッチ機能を標準装備したウィンドウズ7が発売されてから、いずれ各社が出してくるだろうと見られていました」
と語る。ネットブックの重量1.1キロに対し、タブレットPCは500グラム程度。ユーザーにとってはスマートフォンとノートPCの中間的存在だという。
「スマートフォンはあくまで携帯電話で、通話することを前提としていますが、タブレットPCはインターネット接続に主眼を置いた全く新しいジャンルです。09年秋にシャープが『ネットウォーカー』という、これと似たような機器を発売して、売れているようですので、タブレットPCの需要も大きいと思います」
タブレットPCを発表したほとんどの企業がまだ価格を明らかにしていないが、ロイターの記事中では、米国のアナリストが平均価格700ドルになると推測している。