見切り付け、ネット上でビジネス
一方、講談社の広報室に取材しても、この大手出版社について「どこだか分かりません」と答えた。業績については、2009年11月期までの1年分を2010年2月23日ごろに記者発表するが、この決算報告の内容はまだ把握していないという。
雑誌は48あるが、損益は発表していない。また、書籍トップ10に漫画を入れて計算はしていないとしている。
ただ、新文化通信社の09年11月12日付記事によると、講談社の場合、雑誌不振による売り上げ1割減などで、前期を超える赤字が出ていると同社常務が報告している。佐藤さんのブログの内容がどこまで本当かは定かでないが、出版不況はどこも同じで、一層厳しくなっているようだ。
漫画家の佐藤秀峰さんがネット上でビジネスを始めたのは、こうした紙媒体の限界を考えてのことだという。ブログによると、ネット販売は安定しており、1日平均1万円以上を売り上げている。そして、出版社が取り次がないような広告イラストやインタビューの仕事が入っているという。
出版社側が電子書籍の協会を作り、作品のデジタル化販売ができるように打開策を練っていることについては、著作者のことを考えていないと批判。著作者側は、出版社から手数料を取られないように、アマゾンなどと直接契約することができると主張している。
佐藤さんの「ビジネス」については、ネット上で漫画家のあり方としての批判もある。とはいえ、週刊誌を経てネットメディアでも活躍している編集者の元木昌彦さんは、こうした声も聞きながら、出版社が生まれ変わるべきと指摘する。
「出版社の考え方は後ろ向きで、自分たちの利益のことを考えています。これでは、著作者も反発するはずです。著作者の権利や利益を守るように一緒にやっていかないと、時代に取り残されることになりますね。もともと、電話1本で作者と企画を立て、面白いことで一発当ててやろうというのが出版社でした。それが、社員1000人も抱える大企業になってしまって、安定を求める人ばかりになっています。耳目を集めるコンセプトを持った新しい雑誌も、出てこなくなりました。やはり出版社は、面白いものを作らないとダメですね。紙媒体だって、ネットと協力して今までにない雑誌を作るとか、やり方次第で可能性は十分あると思いますよ」